Tasteless Blog

去る5月30日、にんぱくことニンジャ万博改善に参加してきました。
実を言うとその1週間前のビックリマン大阪オンリーとどちらに出るか悩んでいたんですが、24日は抜けられない用事があったのでにんぱくの方になったのでした。
ニンジャ万博改善とはニンジャスレイヤーのオンリーイベントなのですが、同人誌即売会やニンジャセッション(コスプレ)だけではなくトントン相撲やらDJやら朗読劇やら紙芝居やら、色々盛りだくさんでDIY精神あふれるとてもタノシイなイベントでした。
大勢人がいてそれぞれ思い思いに楽しみつつ、でも不思議な一体感があり、イベントとは参加者皆で作るものだと改めて思いました。
っていうか、大の大人が大勢集まってトントン相撲や紙芝居に声援を送っているという状況だけでもすごく面白い……。
ウスイホンもどれも読み応えがあり、なかなかにんぱくの余韻から抜け出せずにいます。

さて、とある成り行きにより今年からコスプレ復帰した私ですが、このにんぱくでもニンジャセッションに挑戦していました。去年見たニンジャセッションが楽しそうで、私もやってみたくなったのです。

……当ブログの読者の皆様の中にはニンジャスレイヤーをご存じない方もいらっしゃるかと思いますが、これはニンジャです。
秘密結社アマクダリの幹部「12人」の一員、ジャスティス。表の顔は治安維持警察ハイデッカーの長官ムナミ・シマカタ。
まだ物理書籍挿絵とかコミカライズとかはないので私なりのイマジナリデザインです。
服装については原作ではオナタカミ・トルーパーズ(ハイデッカー隊員)と同種の戦闘服の上から威厳あるマントを羽織るとあり、そしてオナタカミ・トルーパーズはSWATめいた服装だというので、SWAT風戦闘服を入手し、タクティカルベストにハイデッカーワッペンと殺人光線発射レンズを着けました。
そして実は、このタクティカルベストの襟の厚みのために、マントの襟のデザインが難航したのでした……本当は原作にあるように口元も覆えるようにしたかったんですが、どうも収まりが悪く要調整ということで、今回は後頭部を覆う部分のみ。マントの裾には青く光るラインを入れてオナタカミのテックを表現してみました。
シマカタ長官がニンジャであることは公にはされていないだろうから、黒帯や足袋といったいかにもニンジャなアイテムは敢えて用いませんでした。
得物のボーは運搬の都合もあるし軽くて分割できるようにしようと考え、ハロウィン用品店で見つけた死神の鎌の柄がちょうど良さそうだったので採用。塗装したり端の処理をしたら結構それっぽくなったかと。
ちゃんと写った写真がなかったけれど、髪は2筋ほど白髪が混じっているというのも再現しましたよ……エクステが取れたり絡まったりしまくりで髪のセットに妙に時間が掛かってしまいましたが。
スリケンめいたブローチは、輝ける皇妃エリザベート展のときに買ったもの。本来は皇妃の髪飾りを模したものでしたが、まさかこんな使い方をすることになるとは。

ジャスティスがアマクダリ紋ピアスを着けているという描写は原作にはありませんが、私の耳にはピアス穴があるので、せっかくだから作ってみました。ちょうど土台になりそうなピアスがあったので、上から天下↓を貼り込み。会場で気付いてくださった方が意外と多くて嬉しかったです。

ニンジャセッションでやるキャラをジャスティスにしたのは、格好いいおば様だからやってみたいし、私は元々軍装レイヤーだからどういう風にするかイメージしやすいし、といった理由からです。しかし私は小さくて丸いのでイメージぶち壊しかも……と心配でもありましたが、アトモスフィアがあると好意的に見てくださった方々に感謝します。
もしまたやる機会があるなら、そのときはサイバネ翼も作りたいです。ちゃんと羽ばたくギミックつきで。

 

にんぱくを堪能した後は宿のある池袋に行き、仮面ライダー・ザ・ダイナーで夕食。
空孤さんと待ち合わせ、ライダー・戦隊やビックリマンの話をしつつ、食事を楽しみました。
そう、そろそろビックリマンの方に行かないと…ペチ子を書くんだ……。ペチカイロやプロフェードは2000ならではのキャラだと思うので、もっと掘り下げたいです。私がビックリマンでは主に2000で活動するようになったのは、2000の世界観に惹かれたからというのが大きいし。

ダイナーは二度目ですが、やっぱり座りたくなってしまうショッカー玉座。年甲斐なんてねぇよ。
そして実はこの帽子を被ってたんですが、私のファッションとしてあまりに馴染んでいたのか、誰からも反応がありませんでした。

これを被ってグレムリンパニックを飲みたかったなぁ、でもアレ期間限定メニューだったんですよね(記憶に基づいて再現したものを家で時々作るけど)。

 

翌日は学生時代の友人と遊んだり、久し振りに充実した週末を過ごしました。いまだに日常に戻りきれてないのですが……今度の週末は廃品回収とか地区の運動会とかやらないといけない、ああ……。

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マリオカート8の追加コースとかパズマリとか、下手糞ながらにちまちま遊んでおります。
マリオカート8のリンリンメトロコースにて、ようやくルドウィッグの壁面ペイントが描かれたので安心しました。ルドウィッグだけないとか酷かったですもん……「Ludwig Painting」って、ルドウィッグは絵も描くんですか。英独版ニックネームが「混沌の指揮者」だったから音楽ネタだと思ってましたが。まぁ、ルドウィッグは器用で多芸そうなので、絵も嗜んだりするんでしょう。
パズマリはコンボがなかなかつなげられず、ようやくモートンに会えたところです。地道にレベル上げていくしか……早くコクッパを仲間にしたいですが、一度クリアしてからじゃないと無理なんですかね。

パズマリ発売前に描いた漫画。相手は死ぬ。実際にはルドウィッグは火属性でしたが。そして闇属性のレミーを見てMario is Missing!を思い出すなど。

 
ニンドリ6月号に投稿したもの。ラリーは線画・仕上げ塗りは娘が、線画修正・下塗りは私がやりました。

 
春休みの小学生とオカン。こんな調子だったのでろくに作業など出来ませんでしたとも。

 
擬人化ルドウィッグ落書き。いずれちゃんとしたのも描きたいです。

<拍手返信>

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2015年も1/4以上過ぎてしまったというのに、ようやく今年最初のブログ更新……すみません、一応生きてはいました。

先日、ヨワルテクトリで検索していて『蒼穹のスカイガレオン』というゲームでは彼は女性になっているということを知りました。SM女王様……なんでそういうイメージになったのか、想像は付くけど……ヨワルテクトリは女神じゃねぇ。
やっぱり『ヴィジュアル版世界の神話百科アメリカ編』でトナティウの配偶神だなんて訳すから、配偶者のことだと誤解されてこんなことに。紛らわしい言い回しだよなー……と思っておりましたが、そういえばエジプト神話の本でも配偶神って単語は使われてました。『図解エジプトの神々事典』にはちょくちょく配偶神と書かれている、ということは配偶神という言葉自体は別におかしくないのでしょうか。
「有名だからといって信頼できるとは限らないアステカ神話のあれこれ・その1」の「トナティウの妻は夜の太陽ヨワルテクトリ」の項にも書きましたが、配偶神とはcounterpart(フランス語ではcontrepartie)の神話分野における訳語のようです。この単語は「対の片方、片割れ、対応するもの・人。そっくりなもの・人」という意味はありますが、「夫または妻」といった婚姻関係を示すような言葉ではありません。
「対応するもの、そっくりなもの」という使い方が分かりやすい例として、スーザン=ミルブラス『Heaven and Earth in Ancient Mexico』より以下に引用します「In the Maya Area, K’awil seems to be the counterpart for Tezcatlipoca」。これは「マヤ地域では、カウィールがテスカトリポカに対応する神のようだ」というようなことであって、テスカトリポカとカウィールが夫婦関係にあるとは考えられないでしょう……ないよね?
また、他の地域の神話での例としては、こういうものがあります。「List of Roman Gods and their Greek Counterparts」ゼウスとユピテルが夫婦関係にあるとは考えられないでしょう……ないよね?
しかし、配偶者を強く連想してしまうため、日本では本来の用法ではないのですが「配偶神=配偶者(夫または妻)である神」という意味合いで用いられることの方が多くなってしまったようです(専門家の間ではどうだか知りませんが、一般の神話ファン等において)。
もっとも、実際、男女のペアだと夫婦関係にあることが多いので、結果的に「配偶神=配偶者である神」になっているケースもあります。しかし、それはあくまで結果的にそうなったということであって、counterpart本来の意味ではないので、誤解のないようにしなければなりません。
ともあれ、日本語の文章に出てくる配偶神という単語は「counterpartの訳語(本来の用法)」と「配偶者である神(誤用)」の2つのパターンがあり得るので、読む際にはどちらを意図して書かれているのか注意する必要があります。

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11月 21st, 2014

拍手メッセージありがとうございます。この記事にて返信します。

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トラン(トゥーラ)が舞台のケツァルコアトルとテスカトリポカの対立の物語にはいくつもバージョン違いがありますが、その中で私は『絵によるメキシコ人の歴史』第8章に収録のものが特に気になっていました。
なんだか盛り上がりに欠けるのです。
要約すると、「原初神夫婦トナカテクトリとトナカシワトルから生まれた4兄弟の1柱、赤のテスカトリポカことカマシュトリまたの名をミシュコアトルは岩を杖で打ってチチメカ人を出現させ、自らもチチメカ人に姿を変えた。カマシュトリは天から落ちてきた双頭の鹿を捕らえ戦争を続け、太陽に食物を捧げた。しかし、カマシュトリが野原で1人の女(黒のテスカトリポカが作った5人の女たちの子孫)と会った際、チチメカ人はカマシュトリに戦いを仕掛け、彼に勝利をもたらしていた双頭の鹿を奪ってしまった。女はセ=アカトル(類話に登場するセ=アカトル=トピルツィン=ケツァルコアトルと同一人物と考えられる)として知られる息子を産んだ。セ=アカトルは苦行を行い強い戦士となり、戦争を行いトゥーラの最初の支配者となった。セ=アカトルが大神殿を建設すると(黒の)テスカトリポカが現れ、お前はトゥーラを去って終の家があるトラパランへ行かねばならないと言った。セ=アカトルは、天と星々が自分の運命を告げていたと答えた。4年後、セ=アカトルは民を連れてトゥーラを発ち、チョルーラ・コスカトラン・センポワランに民を残していった。セ=アカトルはトラパランに着き、その日のうちに病を得て翌日死んだ。そしてトゥーラは人口が激減し、9年間支配者がいなかった」といった感じです。

他のバージョンだと、テスカトリポカたちはケツァルコアトルに酒を飲ませて神官の勤めを忘れさせるとか小人の見世物で民衆を集めて殺したりとか、さまざまな手段でケツァルコアトルを追い詰めてトランを去るよう仕向けますが、『絵による』だとテスカトリポカがやって来たときにはすでにセ=アカトルは自分の運命を悟り覚悟完了していたようです。テスカトリポカと対立していたと取れる描写も特になく、異質な印象を受けます。
なお、先ほども()で注釈をつけましたが、この話のセ=アカトルは類話のセ=アカトル=トピルツィン=ケツァルコアトルと同一人物と考えられていますが、しかし彼と神ケツァルコアトルとの関係は特に言及されていません。この話のセ=アカトルは赤のテスカトリポカ(カマシュトリ或いはミシュコアトル)と黒のテスカトリポカの子孫です。
その異質さとおそらく盛り上がらなさ故か、アステカ神話についての本でもあまり話題にならないのですが、そのためかえって私は引っ掛かりを覚えていました。

ところで、人口が激減したトゥーラはその後どうなったのでしょうか?
続く第9~11章を元にかいつまんで説明すると、「(第4の太陽を終わらせた)大洪水から130年後、ヌエバ=エスパーニャの西方やや北よりの地アストランに住んでいたメシカ人は新たな土地を発見し征服するため出発した。シウツィン・テクパツィン・クアトリクエの3人に率いられたメシカ人は、トナカテクトリとトナカシワトルから生まれた4兄弟の1柱で彼らの守護神であるウィツィロポチトリの神殿を建てるべく神像と共に旅をした。トゥーラの向かいの山コアテペックにはテスカトリポカが創造した5人の女たちが住み苦行を行っていた。その中の1人コアトリクエは処女であったが、白い羽を懐に入れると妊娠した。万能の神ウィツィロポチトリが新しく生まれるためにそうしたのである。するとコアトリクエの兄弟に当たるテスカトリポカに作られた400人の男たちが彼女を焼き殺そうとしたが、完全武装で生まれてきたウィツィロポチトリが彼らを皆殺しにした。その後もメシカ人はウィツィロポチトリの神殿を建てたりしながら旅を続けた。メシカ人がトゥーラに着くと、トゥーラの住民の前にウィツィロポチトリの黒い姿が現れ、地下から悲しげな泣き声が聞こえた。4年後、トゥーラのある老婆が住民それぞれに紙の旗を配った。トゥーラの住民は自分たちの死すべきときが来たことを知り準備をし、皆自ら生贄の石の上に身を投じた。トゥーラの住民は誰一人として生き残らず、メシカ人がトゥーラの支配者となった」

私が思うに、『絵による』第8章で書かれたセ=アカトルとテスカトリポカの話は、第11章で書かれるトゥーラの住民の滅亡とメシカ人がトゥーラの新たな主となる展開を導くための伏線というか前振りというかだったのではないでしょうか?
もちろん、『絵による』の記述すべてが実際に起こったことではないでしょう。そういうことではなく、元は余所者であったがメキシコ中央高原の覇者となったメシカ人が自分たちの権威を正当化するための手段とした「歴史」を見ることで、彼らが自分たちをどのようなものだと思おうと、思わせようとしていたかが伺えるのです。
ケツァルコアトル(セ=アカトル)とテスカトリポカが対立し、ケツァルコアトルがトランを去る羽目になったという話の元となった事件は、おそらくかつてトルテカ人の都市トランにおいて起きたことでしょう。それは時期的にメシカ人とは直接の関係はなかったでしょうが、メシカ人は自分たちの歴史と件の伝説とを関連付けました。
メシカ人がメキシコ中央高原に定住した頃には、トルテカ人とはかつてこの地にいた素晴らしい人々として語られ、彼らの王セ=アカトル=トピルツィン=ケツァルコアトルは名君にして神でもあり人でもある存在と考えられていました(当時の人々は現代人のように神話と歴史を分けて考えたりせず、ケツァルコアトルとは神でも人でもあるとにかくすごい存在だと見なしていたように思われます。また、ケツァルコアトルとは神官の称号でもあったので、歴史上ケツァルコアトルと呼ばれた人物は複数います)。
『絵による』によれば、トゥーラの初代支配者セ=アカトルは黒のテスカトリポカが作った女の子孫から生まれ、自らの死の運命を知り、4年後に自ら死地に赴きました。メシカ人の守護神ウィツィロポチトリは黒のテスカトリポカが作った女の胎内に宿りもう一度生まれました。メシカ人がやってきたとき、トゥーラの住民は自分たちの死の運命を知り、4年後に自ら生贄となりました。
第11章に書かれたトゥーラの住民の死は、第8章のセ=アカトルの死をなぞったかのようです。或いは、トゥーラの住民の死を予告するものとしてセ=アカトルの死が描かれたか。
メシカ人は征服によって土地を獲得したことを自ら誇りにし、また、かつてこの地にいた理想的と考えられた人々トルテカ人の後継者たらんとしていました。そんな訳で、メシカ人はトゥーラの人々が自ら生贄となり死に絶えることでトゥーラを手に入れたという話を作り出したのではないでしょうか。それは定められた運命であり、トゥーラの人々も受け入れていたものだとする話を。
そして、それを強調するために、過去にも同じようなことがあった、トゥーラの偉大な支配者セ=アカトルも自らの死の運命を受け入れていた、そんな話も作ったのだと思います。また、後の世でも神聖視されるセ=アカトルを暴力的に追い出したとするのはイメージが良くないという思惑もあったかもしれません。それで、元々の話では敵対者として現れていたテスカトリポカも策略を用いたりセ=アカトルを攻撃したりせず、ただ死を予告しにやってきただけになったのでしょう。
テスカトリポカといえば、セ=アカトルと(再び生まれた)ウィツィロポチトリは共に彼の子孫に当たります。テスカトリポカが400人の男たちと5人の女たちを創造したのはそもそもは太陽の食料とするためで、実際彼らは一度死にました。しかしいつの間にか生き返っていました。トゥーラの支配者セ=アカトルとメシカ人の守護神ウィツィロポチトリを血縁者とするためもあってそういう展開にしたのでしょうか? テスカトリポカが太陽を養うために400人の男たちと5人の女たちを創造した話は本来はメシカ人やウィツィロポチトリとは無関係だったが後から関連付けられたのではないかと思います。
ついでに言うと、ウィツィロポチトリ誕生譚には、チマルマンという女性が翡翠を飲み込んでセ=アカトル=トピルツィン=ケツァルコアトルを身ごもったという『クアウティトラン年代記』の話や、父母たる太陽と大地に捧げものをしない400人のミシュコアをその弟妹である5人のミシュコアが討つ『太陽の伝説』所収の話や、セ=アカトルが叔父たちないし兄たちに殺された彼の父でありチチメカの指導者カマシュトリないしミシュコアトルの敵を討つ『太陽の伝説』や『メキシコの歴史』に書かれた話などの影響も見られます。
話を戻すと、セ=アカトルとウィツィロポチトリとをつなぐものでもある『絵による』のテスカトリポカには、セ=アカトルをトゥーラから旅立たせるための悪事を働かせる訳には行かなかったのでしょう。後にやって来るウィツィロポチトリとメシカ人の正当性を損なわないためには。

こうして見ると、メキシコ中央高原に勢力を広げたメシカ人が自分たちに都合のいいよう歴史を改竄したという話は有名ですが、『絵による』のトゥーラのセ=アカトルとテスカトリポカのエピソードもまた改変をこうむったもののようです。新参者だったメシカ人が現地に伝わる伝承を脚色しつつ自分たちの歴史に取り入れ、自分たちが覇権を握ることの根拠としたのです。
ケツァルコアトル(セ=アカトル)とテスカトリポカのエピソードは本来はメシカ人とは関係ないものでしたが、『絵による』のそれはメシカ人の覇権を正当化する「歴史」の挿話として作り変えられたもので、もはやテーマからして違うものでしょう。
冒頭で盛り上がりに欠けるといいましたが、そういう展開になってしまったのにも理由があります。類話との相違から見えてくるものがあります。あまり盛り上がらないからとか他の伝承とは設定が違うからとか、そんなことでスルーしてしまうのは勿体ない気がしますね。

 

ウチの娘が描くルドウィッグとラリーを擬人化したらこんな感じでしょうか?

ピーチをさらいたがる以外はかなり控えめで邪悪ではない……っていうか一人称が2人とも「ぼく」だったりなんかもうキャラ変わり過ぎで誰だよお前ら状態なんだけど、まぁ小さい子のすることだし、これはこれで……とか思ってしまう親馬鹿。
綿菓子やりんご飴を一緒に食べてたり雨が降ってお外で遊べないと悲しんでたり、6歳児のイメージは微笑ましいですね(←親馬鹿)。
そんな6歳児も来月で7歳児になりますが、誕生日とクリスマスが近いので親としては大変です。
そして「ウチな、クリスマスプレゼントにラリーのお人形もらうんよ!」 と触れ回るので困ります。それくらい楽しみにしてくれてるならプレゼントし甲斐があるともいえますが、しかしやっぱり「ルドウィッグはママが持ってるから!」とわざわざ広められるのは困ります。

話は変わりますが、海外版スマブラWiiUピットのスマッシュアピールのルドウィッグの解説を訳してみました。

 あれはクッパ7人衆の1人、ルドウィッグ・フォン・クッパです。
 うーん、クッパJr.によく似てますね。
 あのクッパクラウンは大量生産型です。
 私が思うに王座の継承者として、クッパJr.は優遇されていそうです。
 クッパとクッパ7人衆との間の関係はまったくの謎です。
 なんだか彼らが気の毒ですね。
 あなたの優しさは彼らをやっつけるにはあまりためになりませんよ。

……訳してる間はらわたが煮えくり返る思いでしたよ。っつーか今もムカついてる。
まぁ任天堂側も複雑な思いを抱えていそうな気もしますが。
それはそうとLudwig von Koopa……コクッパのフルネームの設定はまだ生きているようです。とするとモートンはMorton Koopa Jr.なんですね。先代モートンってどんな亀だったんでしょう?

さてさて、ご無沙汰しております。
そろそろ『悪夢に夢を見るな』10周年ですが、何か書けたらいいなとは思いつつもなかなか書けずにいます。
なんか成り行きで久し振りにコスプレすることになって、衣装製作に着手したということもあり……。
アステカコラムも書きたいしペチ子絵なんかも描きたいんですけどねぇ。

先日の『コクッパ親衛隊オフ会』は、若干予定外の事態はありましたが、楽しい会合となりました。
早くも第2回の話が出てきていますが、もしやるならどんな感じがいいでしょう?
西日本のコクッパファンの方々ともお会いしたいですね。

ところで、そろそろスマブラforWiiUの発売も迫ってまいりました。
3DS版があるからWiiU版はいいかなとも思ってましたが、追加要素に心惹かれるものが多そうで……どうしよう。
そんな追加要素のひとつ、特設リング背景のモニタに表示されるというコクッパのニックネーム(海外版)の情報を得たので、以下に和訳とともに紹介します。

ラリー「The Youngest(最年少)」
モートン「The Enforcer(用心棒)」
ウェンディ「The Bold Beauty(大胆な美女)」
イギー「The Laughing Prankster(陽気なイタズラ者)」
ロイ「The Cool One(クールな奴)」
レミー「Wacky War Machine(おかしな戦闘マシーン)」
ルドウィッグ「Pompous Prodigy(尊大な天才)」

十数年前に米任天堂のサイトでラリーがコクッパ最年少という説明があったもののそのページは削除されてしまったため、その設定は有効なのかずっと気になってたんですが、これで確定しました。
モートンは用心棒って、やっぱり腕力重点なイメージなんですね。
ウェンディの公式美女認定が嬉しいです。昔の漫画等でよくあった「美人のピーチとブスのウェンディ」というネタが嫌いなので。ああ二十数年前の私に伝えてやりたい、「大丈夫、この件に関してはお前は間違ってない。ウェンディは確かに美女だ!」と。
イギーはもうずっとこういうイメージなんだな……でも、昔の漫画で描かれたおとなしいインテリイメージが刷り込まれた人が見たら困惑しそうですね。
ロイがクールってのは、やっぱりあのサングラスがそう感じさせるんでしょう。
意表を突かれたのは、レミーの戦闘マシーン。おかしなというのは想定内でしたが。
ルドウィッグが尊大な天才というのは海外ではニューマリWii以前から定着してたっぽいですが、日本でも頭脳派で偉そうだというのを強調するようになりましたね。マリオ3時代からはキャラ変わりまくってるけど。

鼻の頭から出血

9月 23rd, 2014

ツイッターにてWikipediaのミキストリの項の記事の元になったものがよく判らないという話が出たので、調べてみました。

Wikipediaには
「ミキストリ(Mextli, Miquiztli)は、アステカ神話に伝わる死神。戦争と嵐をもたらす神で、武装した戦士の姿で誕生したといわれる。古代アステカでは、毎年何百もの生け贄がこの神に捧げられた。
テクシステカトルと同一視される。また、メキシコの語源とされる。
参考文献 『悪魔事典』 新紀元社、2000年、374頁。」

と書かれています。では、これから詳しく見ていきましょう。

まず、ミキストリのアルファベット表記とされているMextli及びMiquiztliについて。
Wikipediaのミキストリの項の他言語版で英語版をクリックするとMetztliの項に飛びます。どうやら、英語版WikipediaではMextliで検索するとMetztliの項にリダイレクトされることやMiquiztliの項目がないということから、Metztliの項にリンクさせたようです。そして、Metztliの項には
「アステカ神話において、メツトリMetztli(Meztli、Metziとも)は月や夜や農業従事者の男神ないし女神であった。彼/彼女は恐らくヨワルティセトル(訳注:ヨワルティセトルYohualticetlはヨワルティシトルYohualticitlの誤記だろう。詳しくはこちらの記事を参照)やコヨルシャウキ、そして月の男神テクシステカトルと同じ神であった。後に見るように、彼/彼女はその炎が恐ろしい故に太陽を恐れた。そしてまた、太陽となるための自己犠牲に失敗した卑しい寄生虫病の神が月となったがその代わりにウサギによって彼の顔は暗くなったとも言われた」
と書かれています。
ヨワルティシトルは実際の神話において月の女神だと明言されたことは恐らくないとかナナワツィンとテクシステカトルがごっちゃになってるとか、ツッコミ所はあるもののアステカ神話における月の神の説明だということはわかります。
Miquiztliの方は死を意味するナワトル語です。

しかし、英語版のMetztliの解説と日本語版のミキストリの解説にはテクシステカトル以外には共通する要素が見受けられません。
それでは少し話を戻し、なぜミキストリのスペルとしてMextliとMiquiztliの2つが挙げられているのかということについて考えてみましょう。
ナワトル語のアルファベット表記においてはxはshで発音されますが、予備知識がなければそう読むことはなかなか思いつかないでしょう。
参考文献の該当箇所には、
「Mextli ミキストリ 死を司り、戦争と嵐をもたらす者。月を象徴する」
とありました。WikipediaのMextli表記もこれが由来のようです。しかし、どうしてMextliがミキストリなのでしょうか? 想像ですが、『悪魔事典』の著者がナワトル語のxの読み方を知らなかったとしたら、xをshではなくksと読んでメクストリはミキストリに似ている、これがミキストリの綴りだろうと思ったのではないかと。そして、日本語版Wikipediaの記事を書いた人もMextliはきっとMiquiztliの異綴りだろうと考えてしまった……ということがあり得ます。
そして、どの文献かまでは特定できませんでしたが、Mextliを完全武装で生まれた戦争と嵐を司る神で毎年何百人ものの人間が生贄として彼に捧げられたとしている本があったようです。Wikipediaではありませんが海外のサイト『Encyclopedia Mythica』に、日本語版Wikipediaのミキストリの項と同じような記述がありました。
「Mextli メシカ人の主神(彼らの国名の元となった)で、より一般的にはウィツィロポチトリと呼ばれた。何百人もの人間が毎年生贄として彼に捧げられた。メシトリ(原文Mexitli)は戦争と嵐の神で、完全武装で生まれた」
日本語版Wikipediaのミキストリの記事を書いた人も、恐らく私と同じようにウェブ検索して『Encyclopedia Mythica』のMextliの項に辿り着いたのでしょう。

けれども、また1つ疑問が生じます。『Encyclopedia Mythica』にも書かれているように、Mextli(本来はMexitli)はウィツィロポチトリの別名とされるものです。なぜ『悪魔事典』や日本語版Wikipediaではテクシステカトルのことになっているのでしょうか?
そのヒントは、アイリーン=ニコルソンの『マヤ・アステカの神話』にありました。172ページ、「VII 第五の太陽」の章に
「テクシステカトル(死の日を表わす神、前にミキストリとして出てきている。のちに月の神として認知された神)」
と書かれていたのですが、実はこれは日本語訳に問題があるのです。該当箇所は英語の原著『Mexican and Central American Mythology』では
「A god Tecciztecatl (whom we may remember as the deity of the death’s head day, Miquiztli, and who later became acknowledged as the moon god)」
となっていました。「the death’s head day」とは髑髏の絵文字によって表される日で、そのナワトル語の名称がミキストリです。つまり、「the deity of the death’s head day, Miquiztli」とは「死の日ミキストリの神」ということですが、邦訳ではミキストリは日ではなく神の名前になってしまっているのです。確かに原文も紛らわしい感じではあるものの、ミキストリの名称が前に出てきた箇所(116ページ、「III 暦」の章)ではミキストリは日の名でテクシステカトルはその守護神だとされているので、併せて読めば文意は酌めるはずです。
なお、日本語版Wikipediaのミキストリの記事に添えられた絵はミキストリの日を表す絵文字であって、神ミキストリの肖像という訳ではありません。そもそもミキストリなる神はいないので、絵文書から探そうとしても見つからないのです。
そんな訳でミキストリとはテクシステカトルの別名ではないのですが、『悪魔事典』の著者はそうは思わなかったようです。しかも「死の日を表す神→死を司る神」と解釈が飛躍したらしいです。そして、何かは不明ですが海外の文献で見つけたMextliをミキストリのことだと判断し、『マヤ・アステカの神話』の記述と混ぜて『悪魔事典』の記事を書いたのでしょう。
そして、『悪魔事典』を読んだある人が日本語版Wikipediaにミキストリの項目を作りました。その際、彼/彼女は『マヤ・アステカの神話』や『Encyclopedia Mythica』の情報も参照したようですが、『Encyclopedia Mythica』ではMextliはより一般的にはウィツィロポチトリと呼ばれたと書かれているのをテクシステカトルにしたのは、『マヤ・アステカの神話』の「VII 第五の太陽」の章にあったテクシステカトルが太陽になり損ねた神話を踏まえた結果のようです。Mextliがミキストリで月を象徴するのなら、太陽神といわれるウィツィロポチトリがMextliというのは何かの間違いだろうと判断したのではないでしょうか。英語版WikipediaではMextliで検索するとMetztliの項にリダイレクトされるし。

長くなってしまいましたが、まとめると
 
・『マヤ・アステカの神話』の訳者が「テクシステカトル(前に死の日ミキストリの神として出てきている)」とするべきところを「テクシステカトル(死の日を表わす神、前にミキストリとして出てきている)」と訳す
 ↓
・『悪魔事典』の著者がアステカにはミキストリという死の神がいると思い込む
 ↓
・『悪魔事典』の著者が海外の文献(現時点では未特定)に書かれたMextliとはミキストリのことだと思い込む
 ↓
・『悪魔事典』のミキストリの項目を書く
 ↓
・ある人が『悪魔事典』をベースに、『マヤ・アステカの神話』や『Encyclopedia Mythica』なども参考にしつつ日本語版Wikipediaのミキストリの項目を書く
 
といった流れを推測したということです。

……訳が怪しいとか勘弁して、っていうかなんで私がツッコミ入れてるんだよ英語苦手なのに……。
そして『悪魔事典』、あれ他の項目も見たけど悪魔名のアルファベット表記がちょくちょく空欄になってるのな。そんな状態見たら「この本はヤバい」って思わねぇ? ちゃんと調べてるようには見えねぇよ。きっちり作っても手抜きでも売れ行きに大差ないのかもしれんけど、そんないい加減なものを信じてしまった人たちが気の毒だよ。

塩だれが大人気

9月 10th, 2014


 編集長殿
 警察が俺を捕まえたという話をずっと聞かされているが、当の俺自身がこうして平穏無事でいるのは、どうしたわけなんだい。犯人の逮捕は時間の問題なんだって? 奴等の賢さには、全く笑ってしまう。”皮エプロン”の冗談には、もうちょいで笑い死にするところだったよ。
 俺は売女どもに恨みがあるんだ。逮捕されるまで、奴らを切り裂くのを止めないぞ。対した芸術品だっただろう、この間の仕事は。御婦人に、一声の悲鳴もあげさせなかった。
 警察のボンクラどもが、どうやって俺を捕まえるのか。俺は、楽しんで作業をさせてもらっている。好きなんだね、根っから。またやるつもりだ。諸君ももうすぐ、俺のしでかすささやかなお遊びのことを耳にするだろう。
 俺は前の仕事の時に、こういう手紙にピッタリの例の赤い液体をジンジャー・ビールの瓶に保存しておいたのだが、時間が経ったら糊みたいに固まっちまって、もう使えやしない。だから赤インクで間に合わせている。様になっているといいんだが、へっ! へっ!
 次の仕事では、御婦人の耳を削いで、警察に送ってあげるつもりだ。なあに、つまらない冗談さ。この手紙は、それまで取っておくがいい。俺の仕事がすんだら、公けにするんだ。俺のナイフは、立派で切れ味もいい。チャンスさえあれば、きっちりとし遂げてみせる。
 じゃあ、よろしく。
                   敬具
          ジャック・ザ・リッパー
 もう俺の呼び名のことで、気を遣わないでくれ。この手紙を出すのは、今ペンに付いている赤インクを使い切ってからにしよう。ちくしょう。ついてねえ。俺が医者なんだって? へっ! へっ!

 (スティーブ=ジョーンズ著・友成純一訳『恐怖の都・ロンドン』より)
 
 


 やあ、ボス
警察はおれを捕まえたようなことをぬかしているが、まだ皆目分かっちゃいねえ。したり顔して目星はついたなんぞはお笑い草さ。レザー・エプロンが犯人だなんてのは悪い冗談だ。おれは売春婦が大嫌いで、お縄になるまで切り裂くつもりさ。この前の殺しは大仕事だった。レディにゃ金切り声ひとつあげさせなかったからな。捕まえられるものならやってみな。おれはこの仕事に惚れこんでいるんだ。またやるぜ。おれの面白い遊びを耳にするのもじきのことさ。この前の仕事について書こうと、赤い血をジンジャー・ビールの瓶にとっておいたんだが、膠みたいにねばねばして使いものにならない。赤インクも乙なもんだろう、ハッハッハ。お次はレディの耳を切り取って、警察の旦那方のお楽しみに送るからな。この手紙をとっておいて、おれが次の仕事をしたら、世間に知らせてくれ。おれのナイフは切れ味抜群でね、チャンスがあればすぐにでも取りかかりたいよ。じゃあな。
          あんたの親愛なる切り裂きジャック
これがおれのあだ名さ。
 赤インクの乾かないうちに、この手紙をポストに投げ込んだのは悪いことしたな。残念ながらまだ捕まらんよ。このおれが医者だとはな。ハッハッハ。

 (仁賀克雄著『切り裂きジャック 闇に消えた殺人鬼の新事実』より)
 


 ボスさんへ
 警察はおれを捕まえたそうだけど、おれをやっつけようなんて10年早いってもんだ。えらそうな顔をして捜査は順調だとはよく言った、笑ったよ。レザー・エプロン云々にはもう爆笑。こっちは売女に恨みがあってね、恨みを晴らすまで切り裂きをやめるわけにはいかないんだ。このあいだの仕事はみごとだったろ? 悲鳴ひとつあげさせなかったんだから。さて、どうやっておれを捕まえるのかな? この仕事が気に入ってんだ、またやりたいよ。じきに、おれがまた楽しんだってニュースを聞かせてやるよ。インク代わりになるかと思って、このあいだ、真っ赤なところをもらってきたんだ。ジンジャー・ビールの瓶に入れておいたら、どろっとしちまって、使いものになりゃしない。赤インクでかんべんしてくれ、ハ、ハ、ハ。次の仕事のときには、ご婦人がたの耳を切って、警察のおえらがたに送ってやるよ、たのしみだろ? この手紙はしまっておいて、おれがもうひと仕事したあとで、でーんと発表するんだな。ナイフはぴかぴか、すぐにでもやりたいよ、チャンスがあればな。じゃあな。
          切り裂きジャックより(ペンネームでかまわないよな)
 両手の赤インクをろくに拭いもしないで、投函しようなんておれもドジだ。ちくしょうめ。まだまだだな。今度はおれが医者だって? ハ、ハ、ハ。

 (スティーブン=ナイト著・太田龍訳『切り裂きジャック最終結論』より)
 


親愛なる警察サ ツ旦那ボ ス
 警察が俺を捕まえたという噂を何度も聞いたが、今になっても俺のことがわからないんだな。警察のやつらがしたり顔に、操作が軌道にのってるなんていうのを聞いて、俺は笑っちまったよ。皮エプロンヽ ヽ ヽ ヽ ヽなどという冗談には吹きだしたぜ。俺は売女どもに恨みがあるのだ。パクられるまでは止めはしないからな。この前は大仕事だったぜ。女に悲鳴をあげる間も与えなかった。俺を捕まえられるわけがねえだろ。俺は好きでやってるんだ。またやる気でいるぜ。近いうちに俺の一風変わったお遊びをお目にかけるとしよう。こないだのことを書きつけるのに、おあつらえむきの赤いやつをジンジャー・エールの瓶に入れて用意してはいたんだが、にかわみたいにねばついて使いものにならないのだ。赤インキでも悪くはなかろう。ハッハッハ。この次は女の耳を切りとって、お楽しみにそちらへ送ってやるからな。この手紙は保管しておいて、俺がもうちっと仕事をしてから公表しろ。俺のナイフは切れ味がよい。チャンスさえあればすぐにも仕事にとりかかりたいものだ。それではこれにて。敬具
          切裂きジャック
追伸 俺のとっておきの名前を使ったぜ。赤インキのついた手を洗わないまんまで投函して悪かったな。俺が医者だなどというのは迷惑だぜ、ハッハッハ。

 (ドナルド=ランベロー著・宮祐二訳『十人の切裂きジャック』より)
 


 当局の旦那方へ
 俺様がこのところずうっと噂に聞いていることには、警察はすでに俺様を捕まえたとかぬかしよる。だが、俺様の目星すらまだついていないではないか。噴飯物だな、連中が小利口顔し た り がおしてこの俺様を捕まえるのも時間の問題だとかほざくのを聞くと。革エプロンの奴が真犯人 ほんぼし だとか、冗談も休みやすみ言ってくれ。
 俺様は売春婦どもに恨みがあるのさ。だから奴らを切り裂くのは断じて止めん。この身朽ちるまでな。実に見事なもんだったろう、せんだっての俺様のお手並みは。御売春婦お ね え さんには金切り声ひとつあげさせなかったからなぁ。こんな立派な惨殺こ ろしの腕前の俺様を、一体全体どうやってポリ公たちは捕まえるのかねぇ。俺様はねぇ、あの切り裂きの成果に御満悦なのさ。また殺りてえよ。間もなく諸君は、俺様の消息と、同時に俺様の道楽のささやかながら新趣向あ ら ての妙手を耳にすることだろうよ。
 せんだっての切り裂きお楽しみ最中に、俺様は売春婦 や  つ の赤い血をジンジャービールの瓶に溜めこんだ。ほかでもない血のインクで諸君にお手紙を書こうと思いましてな。ところが、そいつはニカワみたいにくっつきやがって、とてもつかいもんにならんわ。諸君に出す手紙は、赤インクで書くのがふさわしいよ。ハハハァ!
 次なる俺様の切り裂きには、必ず御売春婦お ね え さんの両耳をちょん切って、ポリさんたちに必ず送ってやろう。それというのも、ほかでもない、そいつを送れば、皆さんは忙しく”はしゃぎ”まわるんじゃござんせんか。
 この手紙は、次なる俺様のちょいとした切り裂きをするまで、公表しないで伏せておき給え。なぁに、俺様が切り裂きを終えたら、すぐに公開し給え。すぐにとりかかるってことよ。格好の売春婦あ い てを見つけ次第な。何しろ俺様のナイフときたひにゃ、切れ味がいいもんでなぁ。じゃ、諸君の御多幸を祈るぜ。
          切り裂きジャックより
 気にしないでくれよ、俺様があだ名をつかったことを。他意はないよ。それにしても不本意なことは、赤い血のインクで書き送れないうちに、この手紙を投函するなんて。全くこの俺様としたことが、ドジなこの両手を呪うよ。
 ついてなかったよ、だがな、今じゃ世間で噂してるじゃないか、俺様が医者だって、ハハハァ。医者ならできるさ、血のインクも。

 (益子政史著『ロンドン悪の系譜 スコットランド・ヤード』より)
 

 
ここしばらく翻訳について悩んでいたので、切り裂きジャック研究書を本棚から引っ張り出し、犯人が書いたと称する手紙の和訳を読み比べておりました。そしてそれらのうちのいくつかをここに引用しました。
ちなみに、英語の原文は以下の通りです。
 


Dear Boss,
I keep on hearing the police have caught me but they wont fix me just yet. I have laughed when they look so clever and talk about being on the right track. That joke about Leather Apron gave me real fits. I am down on whores and I shant quit ripping them till I do get buckled. Grand work the last job was. I gave the lady no time to squeal. How can they catch me now. I love my work and want to start again. You will soon hear of me with my funny little games. I saved some of the proper red stuff in a ginger beer bottle over the last job to write with but it went thick like glue and I cant use it. Red ink is fit enough I hope ha. ha. The next job I do I shall clip the ladys ears off and send to the police officers just for jolly wouldn’t you. Keep this letter back till I do a bit more work, then give it out straight. My knife’s so nice and sharp I want to get to work right away if I get a chance. Good Luck.
 
Yours truly
Jack the Ripper
 
Dont mind me giving the trade name
 
PS Wasnt good enough to post this before I got all the red ink off my hands curse it No luck yet. They say I’m a doctor now. ha ha

 

結局悩みは解決していませんが、久し振りにジャック本を読むのは楽しかったです。殺人事件を面白がるとか不謹慎だとは思いますが、「事実は小説より奇なり」を地で行くような展開とか当時の時代背景とか、やっぱり興味深いんですよ。サイトの方は長らく放置かましているとはいえ、二十年来切り裂きジャックは私にとって重要なものです。
ルイージが不遇だとかコクッパの出番がないとかいったことにうんざりしてマリオシリーズから距離を置いていた私がその頃ハマっていた格闘ゲーム、ワーヒーことワールドヒーローズシリーズの(当時の)最新作『ワールドヒーローズ2JET』の新キャラとして切り裂きジャックが登場していたことから興味を覚え、さらに書店で偶然手に取った『恐怖の都・ロンドン』に書かれていた史実の切り裂きジャック事件があまりにも印象的だったため、事件に関する本をもっと探したり自分なりに小説化してみたりするなど、それはそれは入れ込んでいたものです。その後もも切り裂きジャックツアーに参加するべくロンドンに飛ぶなど興味は持続しています、っていうかまた行きたい。いろいろ心残りがあるから……。
 


十年前に撮影したパブ・テンベルズ。切り裂きジャックの犠牲者も利用していたという噂の店で、一時期ジャック=ザ=リッパーという店名だったこともあります。旧店名に戻った後も壁に犠牲者リストが掲げられていたり切り裂きジャックグッズがお土産に売られていたりしたそうですが、私が訪れたときにはすでに切り裂きジャック関連物は撤去されてしまっていました。事前に本で読んで楽しみにしていたので残念でした。それでもやっぱりもう一度行きたい、今度はもう少しゆっくりしたい。
 

……と、タイムリーなことに、切り裂きジャックの4人目の被害者とされるキャサリン=エドウズの現場に残されていたというショールから採取したDNAが、それぞれキャサリンとジャックの容疑者の血縁者の子孫のものと一致したというニュースがありました。
英語記事
↑の日本語訳(若干簡略化)
切り裂きジャックの容疑者とされた人物は百名以上に上るそうですが、今回の調査によれば切り裂きジャックとはユダヤ系ポーランド人の理髪師アーロン=コスミンスキなる男だということです。
コスミンスキの名は犯罪捜査部長を務めたロバート=アンダーソンやメルヴィル=マクノートンが容疑者の一人として示唆していました。マクノートンの手記『マクノートン=メモランダ』に曰く、「第2容疑者コスミンスキ。殺人が行われた地域の中心部に住んでいたユダヤ系ポーランド人。長年孤独な悪徳に耽溺したため狂気に陥った(訳注:「孤独な悪徳」とはマスターベーションの婉曲表現。当時マスターベーションは狂気をもたらすとされた)。女性に対する非常な憎悪と強い殺人性向を持っていた。1889年3月頃に精神病院に収容された(そして今もそこにいると私は信じている)。この男はマイター=スクエア(訳注:キャサリン=エドウズの死体発見現場)近くでシティ警察のパトロール巡査に目撃された人物によく似ていた」とあります。巡査に目撃された人物とはコスミンスキその人で、切り裂きジャックだったのでしょうか? もっとも、マクノートンは彼が手記において第1容疑者として名指したM.J.ドルイットを本星と見ていました。
また、彼の精神異常証明に際しては「通りを徘徊し、溝からパンくずを拾って食べ、水道の蛇口から水を飲み、他人の世話になることを拒絶した。ナイフを持ち彼の妹の生命を脅かした。非常に不潔で入浴を拒否している。長年いかなる職にも就こうとしていない」と記録されています。理髪師だったという話と食い違うようですが、理髪師だったというのが本当ならどんな働きぶりだったのか。狂気が激しくなるにつれ仕事もできなくなっていったのか。
 

今回のニュースについて私は、件のショールとそこから採取されたDNAは有力な手がかりではあるでしょうが決定的証拠とするにはいささか弱いかと思います。ショールにキャサリン=エドウズの血液とアーロン=コスミンスキの精液が検出されたからといって、他の事件にもコスミンスキが関与していたかどうかは判りません。切り裂きジャックの被害者は5人だというのが現在の定説ではありますが、本当にそうだったと証明されている訳ではありません。コスミンスキは模倣犯だったかもしれないのです。またコスミンスキの精液とされるものが事件のまさにそのときに付着したということまでは断言できないだろうし、ショールがこれまであまり言及されていなかったことも気になります。
しかし、以前から切り裂きジャックの正体は名士やセレブの類ではなく、市井の目立たないが異常性を秘めた男であったろうと考えていたので、コスミンスキが切り裂きジャックというのはあり得ることではあるとも思います。当時から怪しまれていた人物が結局真犯人だったというのは、正直ガッカリというか拍子抜けというかなところでもありますが。
 

ところで、これで切り裂きジャックをネタにした作品が作りづらくなったという声もちらほら上がっていますが、私としては、フィクションにおける切り裂きジャックはこれまで通りの扱いでかまわないと思います。コスミンスキを切り裂きジャックとした作品を作るのもいいし、別の正体を用意してもいいんじゃないでしょうか。
人々の想像力が生み出し、百年以上の歳月をかけて育て上げた「切り裂きジャック」は、もはや実際の事件には収まりきらない存在になっているのだから。
 

そもそも、この事件を21世紀の今なお話題となるほどのものにした切り裂きジャックという名前。それはこの記事の冒頭に引いた手紙が新聞に掲載されたことによって一躍有名になった訳ですが、手紙の主は実際には犯人自身ではなかったかもしれません。巷で話題の事件に便乗した悪戯だとする見方も強いのです。警察や世間を嘲るようなメッセージを発する自己顕示欲が強い連続殺人者もいますが、1888年のロンドンで売春婦殺しに励んでいた人物もそうだったかは定かではありません。
それにしても、「Jack the Ripper」。なんて印象的でキャッチーな名前でしょう。命名者が犯人自身であれ他の誰かであれ、実に相応しい名を思いついたものだと思います。切り裂きジャックという日本語訳もまた上手いですね。この事件が日本で初めて紹介されたのは牧逸馬の「女肉を料理する男」だそうですが、その中では「斬裂人リッパアのジャック」「斬り裂くジャック」と呼ばれています。「切り裂きジャック」という形に落ち着いたのは一体いつ頃なんでしょうか?
 

ここからは余談……さっそく「誰かアーロン=コスミンスキのコスプレやってみませんか」とか言ってる人がいましたが、実践したとして「あ、あれはアーロン=コスミンスキ!」と判る人がどれだけいるんでしょうか? もしも私がコスプレするならコスミンスキもいいけど、シルクハットをかぶりインバネスをまとい、ナイフを手にした紳士――という、ステレオタイプな「切り裂きジャック(イメージ)」をやってみたいですね。ベタベタなのがいいんです。
余談その2。コクッパと関係ないところで「ルドウィッグ」表記を見かけると一瞬ドキリとしますね。いや、『十人の切裂きジャック』の「容疑者たち」の章の「ペダチェンコ医師」の項に”ルドウィッグ・ザコウスキー”なる名前が出てきて……。そして切り裂きジャック事件とルドウィッグといえば、一時犯人かと疑われたドイツ人理髪師チャールズ=ルドウィッグという人もいました。彼が拘留されている間に、一晩のうちにエリザベス=ストライドとキャサリン=エドウズの2人が殺された二重殺人事件が起こったため、彼は犯人ではないとされたのですが、ところで彼の家主はヨハネスという人だそうなのでラヨシュ=ヤンチとしてはなんだか妙な気分です。
 

「アステカ神話豆知識」でも紹介していたり、先日ツイッターで話題に上ったりしている本『世界の民話12 アメリカ大陸II』。これは読み物としての面白さよりも原典への忠実さを優先した作りで、神話に関する知識を深めたい読者にはお勧めです。しかし、肝心の出典が明示されていないのが残念なところ。という訳で、この記事では『世界の民話12 アメリカ大陸II』所収のアステカ神話の元になった史料を私の判る範囲で挙げていきます。また、カナ表記が一般的ではないものがあるので、それらについても判りにくいものは注記してみます。
 

 「天を立てる」
『絵によるメキシコ人の歴史』より。イツマリンはイツマリ、テネクスショチトルはテネショチトルのようです。ミクスコアトルはミシュコアトル。

 「人間と食用植物の起源」
a 『太陽の伝説』より。
b,c,d 『メキシコの歴史』より。

 「三つの死者の国」
a,b 『フィレンツェ絵文書』より。
c 『インディアス教会史』より。

 「ケツァルコアトルの若き日の物語」
a 『クアウティトラン年代記』より。
b 『太陽の伝説』より。ユイツナワクはウィツナワク。
c 『メキシコの歴史』より。カマクストリはカマシュトリ。

 「アステカ族の流浪伝説」
「メキシコ人がどのようにして~彼らは矢の雨を浴びた……」までは、恐らく『巡礼絵巻(ボトゥリーニ絵文書)』に基づく記述と思われます。ただし、『巡礼絵巻』自体は絵と絵文字のみで描かれており、アルファベットのテキストはメモのようなものが付されているだけです。なお、コルワカンの王コクスコクストリはコシュコシュトリの方がよいでしょう。
「アクソロワとクワウコアトル~「一の火打石」と呼ばれた」の辺りの元になった史料は調査中です。アショロワ(アクソロワ)とクアウコアトルの探索行やトラロックがウィツィロポチトリを我が愛しい息子と呼んだりするのはトルケマダの『インディアスの王朝』、メシカ人のショミミテクトリ(ソミミトル)がクルワカン(コルワカン)のチチクアウトリを生贄にするのは『絵によるメキシコ人の歴史』に書かれていますが、『世界の民話12 アメリカ大陸II』と同様の記述がある史料はまだ見つけられていません。
b,cの元資料は調査中です。

 
 「どうやってタラスカ人を置きざりにしたか」
 「ユイツィロポチトリがアステカ族に未来の首都の幻影を見せる」
 「コピルのいけにえ」
これらはいずれもドゥランの『ヌエバ=エスパーニャ誌』から採られています。
 

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