Tasteless Blog

「うっはー、面白れー! 止まんねー!」……で、一気読みしてしまいましたよ『古代マヤ・アステカ不可思議大全』『マヤ・アステカ遺跡へっぴり紀行』(共に芝崎みゆき著・草思社刊)。

マヤ・アステカを初めとするメソアメリカの諸文明の紹介と、実際に現地を訪ねた際の話となんですが、今回の本も期待に違わぬ面白さでありました。
『ポポル・ヴフ』のフンアフプーとイシュバランケーのヴクブ・カキシュとその息子たち退治の物語も、芝崎氏にかかれば「祖母の仕打ちや母親の見て見ぬふりなどが双子の人格形成に影響を及ぼしゆがんだ精神を育んでしまったが故の心ない若者犯罪」になってしまいます。その発想はなかった!
もうとにかくユニークな観点から繰り出されるコメントがいちいち面白いっていうか、感じるままにどストレートに突っ込む様が実に心地よいです。駄目だもうこれからはマヤの太陽神キニチ=アハウを見るたびにパンツを思い出さずにはいられない……。
ユーモラスでゆる~いイラストがまたいい味出してるんですよ。終始無表情なケツァルコアトル神が個人的に妙にツボ。
旅行記の方もとても楽しいです。数々の遺跡の紹介はもちろんですが、旅した国々のお国柄の話なんかも興味深いです。「中南米」「ラテンアメリカ」といった言葉で一くくりにしてしまいがちだけど、実際はそれぞれ色々な顔を持っているんですよね(今回の本には南米はあまり関係ありませんけど)。
旅の途中に出会った人々や遭遇したトラブルの話もまた面白いです。困ったことも多いんだろうけど、でもきっとそういうのも旅の醍醐味なんでしょうね。
「いつか現地を訪ねたい!」という思いがますます強くなる2冊でした。

An Annoying American

5月 24th, 2010

調べ物をしている途中、ふと思い出して寄り道したこと。

『太陽の伝説』で「第4の太陽」について、「この太陽は「4の水」と名づけられる。そして52年の間水の中にあった。これらの人々は第4のもの、「水の太陽」の時代に生きていた。そして彼らは676年の間生き、それから溺れて死んだ。空が落ちてきた。彼らはたった1日で滅ぼされた。彼らが食べていたのは「4の花」だった。それが彼らの食物だった。「1の家」の年の「4の水」の日に彼らは滅ぼされた。全ての山々は姿を消した。そして水は52年の間満ちていた。彼らの時代が完結する時、ティトラカワン(テスカトリポカ)は、タタと呼ばれる者とその妻ネネに命じて言った「厄介事は措いておけ。糸杉の大木をくりぬいて、トソストリの月に空が落ちてくるから中に入っているように」。それで彼らは中に入った。ティトラカワンは彼らを封じて言った「お前はただ1本のトウモロコシの穂だけを食べてよい。お前の妻が食べてよいのも同様に1本だけだ」。運良く、トウモロコシを全て食べきった時に、彼らは浅瀬に乗り上げた。水が引いていくのが聞こえ、丸太は動かなくなった。丸太を開けてみると、1匹の魚がいた。2人は自分たちのために火を起こして魚を焼いた。その時シトラリニクエとシトララトナクの神々が下界を見て「神々よ、誰が火を起こしているのだ? 誰が空を煙らせているのだ?」と言った。そこでティトラカワン・テスカトリポカは下界に降り、彼らを叱責した。「何をしているのだ、タタ? お前たちは何をしているのだ?」そして彼は彼らの頭を切り落として尻につけ、犬にしてしまった」という話があります(参考・ビアホースト訳『Hystory and Mythology of the Aztecs』なお、英語からの日本語訳がいい加減なのは約翰の能力的に致し方ないことです)

しかし、『メキシコの神話伝説』『マヤ・インカ神話伝説集』所収の「大洪水」はラストが異なり、「ティトラカワン神は、「神々にささげものをしないで、食物を口にしてはいけない」といいながら、魚を掴んで、尻尾と頭とをひねくり回して犬にしてしまった。夫婦のものは恐れ入って、すぐに空にいる神々にささげものをした。二人は多くの子を産んで、新しい人類の始祖になった」となっています。

原典の『太陽の伝説』バージョンだと、新しい人類じゃなくて犬の始祖なんじゃないのかと思いつつ、松村氏が参考にしたであろうスペンスの『The Myths of Mexico and Peru』の「The Mexican Noah」を読んでみました。果たして、そこでは「And seizing the fishes he moulded their hinder parts and changed their heads, and they were at once transformed into dogs」とありました。松村氏は「they」は「Nata and his wife Nena」ではなく「the fishes」を指すと解釈したのでしょうか?(ところで、夫婦の名前は「タタとネネ」なのか「ナタとネナ」なのかという疑問も起きましたが、『Hystory and Mythology of the Aztecs』の注によれば、ナタと書かれていたけれどタタと読むのが正しいようです)

とまれ、「they」の指示する対象が何であるにせよ、「夫婦のものは恐れ入って、すぐに空にいる神々にささげものをした。二人は多くの子を産んで、新しい人類の始祖になった」という記述は『Hystory and Mythology of the Aztecs』にも『The Myths of Mexico and Peru』にもありませんでした。いったいどこから出てきたのか……と考えていると、スペンスがつけた「The Mexican Noah」という表題が目に入りました。つまり、「メキシコのノア」というところから、「洪水を生き延びて新たな人類の始祖になった人」という連想が働き、そういう展開を付け加えたんじゃないかということです。私が見たところ、「メキシコのノア」とは単に「洪水を生き延びた人」という意味であって、「新たな人類の始祖」という要素は含まれないんじゃないかと思うんですが。

ついでだから「The Mexican Noah」の全文を引いておきます。神々にささげものをしたとかいう文もまた含まれていないということはご覧の通りです。
「The Mexican Noah

Flood-myths, curiously enough, are of more common occurrence among the Nahua and kindred peoples than creation-myths. The Abbe Brasseur de Bourbourg has translated one from the Codex Chimalpopoca, a work in Nahuatl dating from the latter part of the sixteenth century. It recounts the doings of the Mexican Noah and his wife as follows:

“And this year was that of Ce-calli, and on the first day all was lost. The mountain itself was submerged in the water, and the water remained tranquil for fifty-two springs.

“Now toward the close of the year Titlacahuan had forewarned the man named Nata and his wife Nena, saying, ‘Make no more pulque, but straightway hollow out a large cypress, and enter it when in the month Tozoztli the water shall approach the sky.’ They entered it, and when Titlacahuan had closed the door he said, ‘Thou shalt eat but a single ear of maize) and thy wife but one also.’

“As soon as they had finished eating, they went forth, and the water was tranquil; for the log did not move any more; and opening it they saw many fish.

“Then they built a fire, rubbing together pieces of wood, and they roasted fish. The gods Citallinicue and Citallatonac, looking below, exclaimed, ‘Divine Lord, what means that fire below? Why do they thus smoke the heavens?’

“Straightway descended Titlacahuan-Tezcatlipoca, and commenced to scold, saying, ‘What is this fire doing here?’ And seizing the fishes he moulded their hinder parts and changed their heads, and they were at once transformed into dogs.”」

とにかく、新しい人類の始祖云々は『メキシコの神話伝説』『マヤ・インカ神話伝説集』で付け加えられたもののようで、多分松村氏お得意のアレンジなのでしょう。
……やっぱり危ないわ、あの本。

そういえば、本来の調べ物は全然見つかってません。どこにあるんだか……。

ぎゃあシャーペンのペン先(not芯)が折れたぁーっ!

……ここ数日というもの、何かと忙しかったり体調が悪かったりでろくに作業できてなかったもので、久し振りのお絵かきに力入り過ぎました……。
しかし描いている内容は脱力必至のアホネタ!

昨日のことになりますが、病院で会計の順番を待っている間、寄付された本が集められ「自由にお持ち帰りください」との札が貼られた本棚を物色していたら、『ナショナルジオグラフィック』のバックナンバー十数冊を発見! 古代エジプトやマヤ文明の特集とか、ハチドリや心臓の写真とか載ってる! わーい! ……と大喜びで数冊選び、ありがたく頂きました。
その本棚では以前にも新品同様の『メソアメリカ世界』を入手したり、時々掘り出し物があるんですよね。病院に行ったときの楽しみです。

ところで、『世界祝福』の方のネタ出しもやってますが、集めた資料の大半はそのままでは使えないので、アレンジに苦労してます。自分が書きたいのはリアリティのあるフィクションであってリアルではないのだと思いつつも、じゃあリアリティって何だという疑問も。

それにしても、テスカトリポカ&ヤオトルとウェマクの妄想が止まりません。

その赤は私の血だ

5月 20th, 2010

適当な落描きのつもりで描き始めたものがなかなか終わりません。ヤバい。
っていうか、描きかけのものが多すぎです。ついでに欲しい本が多すぎてどれから買うか迷いまくってたりもして、なんでこう気が多いんですか私は。
あ、書籍購入については、まず『古代マヤ・アステカ不可思議大全』『マヤ・アステカ遺跡へっぴり紀行』の2冊は予約しました。発売日が待ち遠しいです。

話は変わって、本日の読書中に気になったことメモ。
『ロード絵文書』に失った片足の代わりに鏡をつけているトラウィスカルパンテクトリがいるらしいけど、どこにいるのか……。『ボルジア絵文書』のシパクトリに足を食いちぎられているトラウィスカルパンテクトリは見つかったんですが。
ところで、『Mockeries』ではシパクトリに代名詞heを使ってますけど、男性ってことでいいんでしょうか。
そしてトラルテクトリとトラルテオトルの関係も気になります、同じ神なのか別のなのか……『Mockeries』でトラルテオトルとして引用しているものが引用元を当たるとトラルテクトリになっていたりするみたいなんですけど、でも『Mockeries』にはトラルテクトリとトラルテオトルの両方の名前が出ていて、何によって区別しているのか悩みます(もっとちゃんと読めば判るのかもしれませんが)。一応、「大地の怪物トラルテクトリ」「大地の女神トラルテオトル」という風にはなってますけど。『Mockeries』の著者以外の文章でトラルテオトルの名はあまり見かけないのも気になります。

……って、しまった作業進んでねぇー!

ミッフィーキック

5月 17th, 2010

夢の中で、マヨネーズのガイアメモリを持っていました。何故マヨネーズ……マヨネーズは別に嫌いじゃないしむしろ好きな方ではありますが、マヨラーというほどの思い入れはないし、ここ数日も特に使ってないのに、何故……本編ではケツァルコアトルスなんていかにも約翰の好きそうなものが出てきたところだってのに、何故……?
あ、番組内ではケツァルコアトルスについて「アステカ文明で蛇の神とされた史上最大の飛行生物」みたいな言い方してましたが、正確には「アステカ神話の蛇の神ケツァルコアトルにちなんで名づけられた史上最大の飛行生物」であって、あの翼竜が神とされていた訳じゃないですよね。
ケツァルコアトルスドーパントのデザインは、翼竜ケツァルコアトルスをベースに頭部を神話のケツァルコアトルっぽくした感じでしょうか。

テスカトリポカの妻の1人・アトラトナンとは「水の我らが母」といった意味らしいですね。ヴィジュアルが未だ判らないのがつらいですが。
ヴィジュアルといえば、今ショチケツァルの約翰的アレンジを考えているんですが、フェイスペイントをどうするかでまず悩んでます。資料を見てるといくつか種類があるようで、火の神シウテクトリと同じようなパターンだったり、太陽の神々と関連したものだったり……多分、どの側面を表わすかによって変わっていたんでしょうけど、現代人わ た しにとってはややこしいので基本形を作っておきたいんです。で、どれをベースにしたものか、と。

アメリカンチェリーが安く売られていたので、チェリーブランデーの自作に挑戦してみました。
梅酒の要領で、ガラス瓶にチェリーと砂糖を入れブランデーを注ぎます。3ヶ月ほどでできるそうなので、お盆ごろには飲めるでしょうか? 楽しみです。

ショチケツァルのことを調べていて、ドゥランの『ヌエバ=エスパーニャ誌』ではショチケツァルがトゥーラの崩壊に関わっていたという記述があったようなとふと思い出し、読んでみたところ「神官王トピルツィン(ウェイマク)の部屋に魔術師たちがひそかに娼婦ショチケツァルを入れ、神官王が純潔を失ったという噂を広めたためトピルツィンは傷つき国を離れることを決意した(要約)」……といった話が書かれてました。
そういえばショチケツァルって娼婦の女神でもありましたっけ。それはそうと、この事件について著者ドゥランが「再度私はその聖人(ウェイマク)がこの地を旅立った理由について彼(情報提供者の先住民)に訊ねた。彼はケツァルコアトルとテスカトリポカ(著者注:彼らはいずれも呪術師・魔術師で、望むままに姿を変えることができた)による迫害がその理由だと答えた」と書いてるのも気になりますが、『クアウティトラン年代記』だとこの辺はどうなっていたかということもまた気になってきました。
で、そちらではショチケツァルは出てこなかったんですけど、「女妖術師たちが(ウェマクを)馬鹿にして嘲笑おうと試みたとき、(ウェマクは)彼女らと同棲してしまった。ツァポトランに住む、妖術師のヤオトルとテスカトリポカと呼ばれるもう一人がそこに来た者たちだった。彼らが女に変身することによってウェマクを騙したとき、彼は彼らと同棲してしまった。それゆえ彼はケツァルコアトルであることをやめた」と書かれてました。
ここでのケツァルコアトルとは神官王の称号みたいなものですが、テスカトリポカ……索引によればこのテスカトリポカは神であるテスカトリポカやウェマク以前の神官王セ=アカトル=トピルツィン=ケツァルコアトルを追い出した妖術師のテスカトリポカとはとりあえず区別しながらも、それらと同じものかもしれないともしています。いや、っていうかそれより、女に化けて同棲って……この約翰の腐った脳にそんな情報を入れたら、またろくでもないものが出力されてしまいますがな!
……ヤオトルってのもテスカトリポカ神の別名のひとつですよね。

じゃじゃ~ん☆

5月 14th, 2010

昨夜の夢に法螺貝がやたら出てきたのは、きっとテクシステカトルのせい(テクシステカトルとは「法螺貝の主」の意)。
でもその夢の中で私はプロフェードの線画に着色していたりもして……ええ、『世界祝福』のネタも毎日折りに触れ考えてはいるんですよ。なかなか書き出せずにいるけれど……ここはひとつ、無理やりにでもしばらくは『世界祝福』の作業をするということにしてしまった方がいいのかもしれません。どうせ今月末にはまたマヤ・アステカの燃料が供給されるからその後しばらくは古代メソアメリカのことばかり考えてしまう状態が続くんだろうし、それまでの間はイリダールに行くことにしましょうか。

……とか言いつつ、またしてもアステカ話題。
(腐女子注意)
(さらに…)

「ピルツィンテクトリはテスカトリポカの変装かもしれない」という話が気になって仕方がないので、『Mockeries and Metamorphoses of an Aztec God』を開いてみたところ、ピルツィンテクトリはテスカトリポカの名前のひとつだとありました。
でも『ヴィジュアル版世界の神話百科アメリカ編』ではショチピリの化身のひとつとなってます。
テスカトリポカとショチピリの共通点って何だっけと考え、真っ先に浮かんだのが「人間を痔に罹らせること」だった私は、間違ってないけど間違ってます。
『Mockeries』をもうちょっとパラ見していたら、ナパテクトリという名も時としてテスカトリポカに適用されるとか、イシュトリルトンはテスカトリポカの化身だとかいった話もあるようで、本当ややこしい……。

ところで、テスカトリポカの4人の妻(ショチケツァル・シロネン・ウィシュトシワトル・アトラトナン)のうちアトラトナンだけヴィジュアルが全然判りません。ショチケツァルは結構見かけるし、シロネンやウィシュトシワトルもなんとか見つけたんですが、アトラトナンには手がかりがなくて難儀しております。テスカトリポカと4人の妻をそろえて描いてみたいのになぁ……。

たまに遊びたくなるうそこメーカー
・テスカトリポカの神話
・ウィツィロポチトリの神話
・ケツァルコアトルの神話
そうそう、ケツァルコアトルの脳内がまた……世間一般のイメージの真逆を行っちゃってます。
 

ショチケツァルを誘拐した後、報道機関に向けて犯行声明を行なうテスカトリポカに萌えてしまいました。「彼女を連れ戻そうなどという大胆なことをするものは誰もいない」なんて言っちゃうし、もう……っていうか、件のエピソードの紹介がなんでニュース形式なんですか。
下劣な女たらし(だって原文にそう書いてあるんですから)のテスカトリポカによって傷つけられることなくタモアンチャンに帰されたショチケツァルは記者会見で「私が望むのはあのペテン師のテスカトリポカが私をそっとしておいてくれることだけです!」なんて言ってますが、さらわれている間にあの冷たく暗い北の王国で一体何があったのやら。前回テスカトリポカが大地の女神トラルテクトリを手に入れたとき、彼は彼女を2つに裂いて空に投げてしまったという話がその前に出ていたから、ショチケツァルは自分もそんな目に遭わされるんじゃないかと怯えているということでしょうか?
報道機関の間でピルツィンテクトリ(この記事ではショチケツァルの前夫という設定。彼も西方の楽園タモアンチャンに暮らしている)はテスカトリポカの変装かもしれないというスキャンダラスな主張が起こったというのも気になります。
そして、記者に「ショチケツァルを助けに行かないからといって、トラロックを誰が非難できるでしょう? 結局のところ、テスカトリポカがもっとも強い神なのかもしれません!」なんて言われてしまう現夫トラロックが気の毒。
 

パンダのパンツ

5月 10th, 2010

『古代エジプトうんちく図鑑』『古代ギリシアがんちく図鑑』の芝崎みゆきさんの次回作はマヤ・アステカ! これは楽しみ!
豊富な情報やゆるいイラストや随所に盛り込まれた小ネタが面白いのはもちろんですが、著者の主観丸出しっぷりが見ていて気持ちいいんですよね。
今度はマヤ・アステカにどんなツッコミを入れてくれるのか? 本が出るのが待ち遠しい!

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