Tasteless Blog

おまたツーン

5月 23rd, 2014

今回はコクッパの口調について……以前にも何度か書きましたが、しかし『マリオカート8』発売が近いせいか、また話題になっているような気がしたので、改めて記事にします。
 
 

今のところ、コクッパの口調に関する資料となるもので任天堂から提示されているものは、ファミコン版『スーパーマリオブラザーズ3』取扱説明書のみです。英語で書かれたものなら他にPC版『Mario is Missing!』もありますが、あれは厳密には任天堂製じゃないので、今回は扱いません。
 

<ラリー>
「マヌケな国王から巻き上げた杖は全部で7本。オレ達兄弟が1本ずつ持ってるって訳さ。オヤジに怒鳴られるのはイヤだから、そう簡単に渡す訳にはいかないぜ」
「We took 7 wands from the 7 kings. Each of us has one. Our father has instructed us to protect the wands.」
(私達は7人の国王から7本の杖を取り上げました。私達のそれぞれが1本ずつ持っています。私達の父は私達に杖を守るように言いつけました)

<モートン>
「フムフム。結構やってくれるじゃんか。マリオに変身されると、どーも手強くなりそうだ。よし、オヤジに報告だ」
「Grrrrr. You’re pretty tricky. With all of these moves, Mario will be difficult to beat. I’d better report this to our Dad!」
(ウーッ、あなたはかなり油断なりません。もしこれらの動きのすべてがあれば、マリオは倒すのが難しくなるでしょう。私はこれを私達の父さんに報告した方がよいでしょう)

<ウェンディ>
「アタイはマリオと戦うのは初めてだからこの表でよーくマリオの動きを研究しとくのさ」
「This is the first time I’ve met up with Mario. I’m studying his moves very carefully.」
(私はマリオと会うのはこれが初めてです。私は彼の動きをとても注意深く学んでいます)

<イギー>
「ウキャキャキャキャ。マリオ達、今頃緊張してんだろうな。ザマーミロ。それじゃあ、オイラが1人用ゲームを、ワールド1を例にとって説明するからよーく聞いとけよ」
「Ha ha! Mario and his friends must be getting very nervous now. I can hardly wait to meet up with him!」
(ハハッ、マリオと彼の仲間達は今頃とても緊張しているに違いありません。私はマリオと会うのが待ちきれません!)

<ロイ>
「どれもこれもマリオが欲しがりそうなものやおまへんか。アクションゲームの中で手に入れたアイテムはマップ画面では使えへんからよー注意しなはれや」
「Wow! Mario sure has some neat new tricks… I hope we can stop him!」
(わあ! マリオはいくつかの巧妙な新しい技を持っています…私は私達が彼を止められることを願います!)

<レミー>
「マリオのヤツがどこまでガンバレルか楽しみだなー。ワールドのマップも先へ進むにつれ、どんどん複雑で広大なものになってくるよ。それはそうと、暗黒の国だけはオヤジしか知らなくて何もわかんないんだ。でも、何か、すごい新兵器を作ってるのをちらっと見たことがあるよ」。アメリカ版では「How far can Mario go? I hope he doesn’t make it this far. Dad has many complicated tricks waiting for him in the Dark Land. I’ve even heard about some new weapon that dad’s been making.」
(マリオはどれほど遠くまで行けるでしょうか? 私は彼がこんなに遠くまで来られないことを願います。父さんは多くの複雑な策略を用意して暗黒の国で彼を待っています。私は父さんが作っているいくつかの新兵器について聞いたことがあります)

<ルドウィッグ>
「イエーイ! のってるかい。攻撃的で過激な仲間が増えてオイラもうれしいぜ。ベイビー。実を言うと他にもっと仲間がいるんだけど、そいつはマリオにはナイショだぜ」
「Quite an exciting game isn’t it? I’m glad to know that we have such powerful enemies helping us out. We have more guys helping us besides these… but don’t tell Mario.」
(まったく刺激的なゲームではありませんか? 私達には私達を助けるこのような強力な仲間がいることを知って私は嬉しいです。私達にはこの他にもさらに多くの仲間がいます…しかしマリオには言わないでください)
 

……英語版の和訳? 違和感半端ないですね?
しかし、今回はあえて色付けしないプレーンな訳にしました。先入観を排したかったんです。
そして、便宜上日本語版と英語版をまとめて書き、その上に各コクッパの名前を書きましたが、実はこれだと厳密には不正確です。日本で『マリオ3』が発売された当時は、コクッパ1人1人には名前はなかったので。

各コクッパへの命名がなされたのはアメリカで『マリオ3』が出たときだという話はある程度知られていますが、その時点でルドウィッグのキャラ付けに変化が起きたんじゃないか、私はそう思っています。
先に挙げたように、日本版の土管の国のコクッパは「イエーイ」だの「のってるかい」だの「ベイビー」だのと言っていますが、英語版ではそういった言葉遣いではありません。英語版は全体的に日本語版より落ち着いた印象ですが、特にルドウィッグは大人しめになっている感じです。アメリカに渡った際「髪型がベートーヴェンっぽい」ということでLudwig von Koopaと命名された訳ですが、それにより言葉遣いにも影響が出たのではないでしょうか。英語版『スーパーマリオワールド』ではルドウィッグはクッパ交響曲を作曲していたことになっていて、また、最近でも英独版『マリオカート8』でのキャッチフレーズが「混沌の指揮者」となっていることからも推して、ルドウィッグのキャラ付けにはその名前が影響しているようです。
ですが、日本のスタッフは最初からベートーヴェンを意識して土管の国のコクッパをデザインした訳ではないでしょう。イメージしていたのは恐らく、下に示すような不良少年だったと思われます。

(画像は『はじけて! ザック』の白川ユダ。もちろんここで話題にしているのは外見のみ)
つまり、「日本で初めて『マリオ3』が発売されたときの土管の国のコクッパ(名無し)は「イエーイのってるかいベイビー」なノリのキャラだったが、アメリカでLudwig von Koopaと命名されて以降はそうではなくなった」ということです。
特に、『NewスーパーマリオブラザーズWii』以降は「大人びてナマイキな、仲間のうちで一番の頭脳派」で、戦闘開始時にも「イエーイ!」と叫ぶのではなく「フフフ…」と含み笑いするようなキャラになっているので、日本版『マリオ3』取説の土管の国のコクッパの台詞は、ルドウィッグとなった現在の彼についてはあまり参考にならないんじゃないかと思います。

それから、日本語版のロイ(空の国のコクッパ)の口調について。
「『マリオ3』取説ではロイは関西弁」という情報のみを見た場合、現在のロイのキャラもあってか荒っぽい感じでイメージされることもあるようですが、実際はかなり穏やかで丁寧なんですよね。共通語なら「どれもこれもマリオが欲しがりそうなものじゃありませんか。アクションゲームの中で手に入れたアイテムはマップ画面では使えないからよく注意しなさいよ」みたいになるでしょうが、こんな話し方をする奴が戦闘開始時に大声で威嚇してくるのはなんかちぐはぐな気もします。
なお、アメリカ版のロイやレミーの発言は日本版の空の国・氷の国のコクッパたちとは異なり、マリオが来ないことを願っていますが、これは「敵なのにマリオが来るのを楽しみにするのはおかしい」といった発想による変更と思われます。

ルドウィッグやロイに限らず、コクッパたちは初登場時と今とではキャラが変わっているところがあるように思います。イギーは当時から今までぶれてないなと思いますが(「おとなしいインテリ」というのはゲームではなく漫画由来のイメージなので、ここでは話題にしません)。あとは、ラリー・モートン・レミー辺りも『マリオ3』取説の口調のままでも違和感がないでしょうか? ウェンディは今ならもう少しかわいらしい感じの方がいいかもという気がします。

大体、『マリオ3』の頃と今とでは設定からして変わってるところがあるし。例えば、『マリオ3』ではモートンよりもルドウィッグの方が体重が重かったけど、今ではモートンがコクッパ最重となった一方、ルドウィッグは中量級で地響きを使わなくなった代わりに空中殺法が得意になったし……(コクッパ全員に関する、最大にして最悪の改変から目を背けながら)。
……それに、クッパの口調だって『マリオ3』当時と今とでは変化しています。『マリオ3』取説では「ワッハハ。これから俺様の息子達がこのゲームの説明をするぜ」ですが、今なら「ガハハハ。これからワガハイの息子達がこのゲームの説明をするのだ」とでもなるでしょうか? なので、コクッパのも変わっている可能性はあるでしょう。

ところで、私を含むファミコン時代からのコクッパファンの多くは、実は『マリオ3』取説での口調にそれほどこだわりを持っていない、というか取説での口調にはあまり馴染みがないんじゃないかという気がしています。私と同じくらいのファン歴の人達にとっては、取説よりもむしろエニックス(当時はスクウェア・エニックスじゃなかった)・双葉社などの4コマ本を初めとする漫画の影響の方が大きかったと思いますが、それら商業誌でのコクッパは取説とは異なる口調でしたから。イギーがお調子者ではなくインテリキャラとされるようになったのも漫画の影響だし、取説のようなスケバン風なしゃべりのウェンディもあまり見なかったし。ウェンディについては『コミックボンボン』で連載されていた本山一城先生の漫画の「~だわさ」口調が印象に残っている人も多いのでは?
『マリオ3』取説の口調にこだわっているのは、ファミコン版『マリオ3』をリアルタイムでプレイしていた世代よりも、むしろ後からコクッパに興味を持ってネットで情報を得た世代のように見受けられます。余談ですが、ルドウィッグの機械音痴設定もですね。あれは日本語版Wikipediaが出所でしょう。リアルタイムではそういうネタは見かけなかったし、海外にもなさそうなので……。とにかく、若い人たちが「ロイって関西弁なんだよ!」などと言っているのを見るとなんだか不思議な感じがします。

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