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『Historia de Tlaxcala』のショチケツァルについての話ですが、いったん公開したもののもう一度読み返したらなんか勘違いしていたっぽいことが判ったので、訂正いたします。いやだから私スペイン語はできないんだってば。ならおとなしくしてろと言われそうですが、それはそれでできそうにありません。

『Historia de Tlaxcala』では、ショチケツァルがテスカトリポカに奪われた後にトラロックは新しい妻マトラルクエイエ(これはチャルチウトリクエのトラシュカラでの名前らしい)を迎えたという話に続いて、トラシュカラの雨の神キアウィステカトルとその妻ショチテカシワトルの名が出てきます。そしてこのショチテカシワトルは卑しさと貪欲さの女神と言われていますが、ショチテカシワトルとショチケツァルとを同じものと見なし、それからさらに不浄の女神トラソルテオトルをも同一視した結果が、『The Native Religions of Mexico and Peru』『Mythologies of Mexico and Peru』そしてそれらを参考文献として書かれた『メキシコの神話伝説』などに見られるような、本来『Historia de Tlaxcala』ではショチケツァルのものだったエピソードをトラソルテオトルのものとして紹介する記述だったのかと想像しました。
しかし、このショチケツァルをトラソルテオトルの別名とする見解は百数十年~数十年前のもので、現在ではこの2柱の女神たちは関連はあるけれども同一の存在とまでは言えないとされているようです。
なお、ショチテカシワトルとショチケツァルとの間にどれくらいの類似性・関連性があるのかは私には判りません。
それにしても、アステカ神話に関する資料があまりにも少ない日本では、いまだにショチケツァルをトラソルテオトルの別名とする説を時折見かけるのが……本当に、誰か『メキシコの神話伝説』に替わる本を出してくださいよ、そして普及させてくださいよ。
ところでしかし、実は私、『メキシコの神話伝説』は嫌いじゃないんですよね。批判しまくっといてこんなこと言うのもなんですけど。確かに不正確な箇所は多いんですが、資料不足を想像で補おうとして頑張りすぎてやらかしちゃったとか、読み物として面白いものにしようとしてついついやらかしちゃったとか、そんな事情が伺えるんで……。私が偉そうなことを言えるのは、単に80年の間に先人たちが蓄積してくれた研究成果やネットショッピングの充実のおかげってだけだし。それでも批判してしまうのは、今となっては内容が古びてしまっている部分があると指摘しておきたいとか、学術書を意図して編まれたものでは無いのに(かつての私のような)読者の方は学術書としての役割を期待してしまっているということを指摘しておきたいとか、そしてこの本に替わるものを出す人がいない現状に対していらだっているとか、そういったことが原因です。
話を戻しますが、貴重な花ことショチケツァルにもダーティなイメージはあるんですよね。『ヌエバ=エスパーニャ誌』でトゥーラの王ウェイマクを陥れるために妖術師が呼んだ娼婦の名がショチケツァルだったり、『テレリアーノ-レメンシス絵文書』では最初の女の罪だとか書かれていたり。余談ですがウェイマクで思い出しました、『Historia de Tlaxcala』にはテスカトリポカ-ウェマクという神がいるんですよね。ウェマクというとケツァルコアトル関係だと思ってたんですが、ここではテスカトリポカとくっついているのは何故なのか気になります。
そして『テレリアーノ-レメンシス』と言えば、ショチケツァルの次のページのコヨーテか何かの動物の着ぐるみを着たテスカトリポカの絵には悪魔が罪を犯す前のイヴを誘惑したとかいった説明が付されているけれど、これはどう見てもキリスト教的解釈によるものですよね。それでは、前に書いた(そしてその後調べられていない)テスカトリポカの罪とか今回の記事で触れたショチケツァルの罪とか、そういったものにはキリスト教の影響はあるのかないのか、あるとしたらどのようにあるのか……本当、何か1つ判ったと思ったらそれ以上に謎が増えていきますよ。面白いけど大変です。

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