Tasteless Blog

すっかりご無沙汰しておりました。書きたいネタはいろいろあったんですが、日常のあれこれに忙殺されておりまして……コメント返信は今しばらくお待ちください。

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とりあえずはこのネタから。
去る7/31、オリエント美術館にて開催中の『古代エジプト 神秘のミイラ展』に行ってきました。 古代エジプトのミイラとか死生観とかをテーマにしているという辺りは、同会場で以前催された『吉村作治の新発見! エジプト展 ―国立カイロ博物館所蔵品と―』と似ていますが、今回のは吉村先生はノータッチのようで(今は福岡で『吉村作治の古代七つの文明展』をやってるし)、「いや…私は古代エジプトの遺物を見に来たのであって吉村作治がお目当てという訳じゃないんですが…そこのところは誤解の無きよう……」な気まずさは感じずにすみました。ファンの方には悪いけれど、っていうか私もかつてはファンだったけれど、今となっては勘違いとかトンデモとかがひどくなってて、もうついて行けません。『古代七つの文明展』に行かれた方のブログによれば、【ピラミッドの7不思議】というコーナーで「ピラミッドパワーで果物や野菜も新鮮なままです。剃刀の刃も200回剃っても切れ味は落ちません」とあったのだとか……『古代七つの文明展』はいずれ岡山にも来るということなので、自分の目で確かめる機会もあろうかと思いますが、なんともはや……『定説はくつがえされる! ピラミッド・新たなる謎』(光文社/1992)に「ピラミッド・パワーの屁理屈」なる項を設けてましたよね、吉村センセイ。ついでに、Wikipediaのピラミッドパワーの項。なんというか、かつてファンだったからこそ見ていて辛いです。

……しまった、つい日頃「納得いかねぇ」と思っていることを漏らしてしまった。

ええと、『古代エジプト 神秘のミイラ展』です。オランダのライデン博物館の所蔵品による展示でしたが、どうやら私は1996年開催の『オランダ国立ライデン古代博物館所蔵 古代エジプト展』も見たことがあるようです。しかしその時は図録を買わなかったため、どんなものがあったのかはうっすらとしか思い出せないのが残念です。まぁ、残念残念とばかり言っていても仕方ないので、また新鮮な気持ちで見られるからいいんだということにしておきました。
以前「ライデン博物館と言えばホルエムヘブのレリーフとか有名だけど、さすがにそんなものは来ませんよね。今回イチオシのものは末期王朝時代の神官アンクホルのミイラだそうだし。第18王朝好きとしては末期王朝の頃にはそれほど興味は…というのが正直なところだけど、遺物の残り具合の関係か展覧会等で目にする機会が多いのは末期王朝とかグレコ・ローマン辺りのものですよね」と言いましたが、実際には結構新王国ものがあって新王国ファンとして嬉しかったです。そうそう、未完成で碑文等もないため詳細は判らないけれど、第18王朝最後のファラオとなったホルエムヘブが将軍だった頃にサッカラに築いた墓から出土した可能性のある像も来ていて、これは嬉しいサプライズ。っていうか、ちゃんと記録しておいてくれよ昔の発掘者。これだから宝探しは。19世紀には墓の一部は発見されていたそうだけど、完全に発見されたのは1975年とのこと。
今回の目玉のアンクホルのミイラを包んだ布は、今となっては薄茶色に色褪せてしまってますが、かつては赤かったそうです。墓や遺体に朱を施すというのは当ブログに関係ありそうな辺りだけでもマヤとかシカンとか、それに日本でもいろいろ例がありますが、やっぱり赤という色に生命力とかそういったものを見出していたんでしょうか。

話は前後しますが、展覧会を見る前に特別講演会に参加しました。中部大学准教授の中野智章先生による「パンとビールがお弁当? 食から見る古代エジプト社会」で、砂漠のイメージが強いエジプトだけど実は昔から農業が盛んで様々な作物が取れ豊かな食生活がといった話を、野菜や果物が山積みにされた現代の市場の写真や古代の壁画などの例を引きつつお話していただきました。古代エジプトではビールはパンと並ぶ重要な食料の一つで、酔うためというよりも栄養を摂るためのスープのようなものだったそうです。また、古王国時代と新王国時代とではビールの製法が異なっていたらしく、古王国のやり方では白ワイン風、新王国式ではどぶろく風のものができたということでした(古代エジプトの絵画は象徴的な表現で描かれているので事実をそのまま記録しているとは限らないそうだけど)。どんな感じのものだったのか試飲してみたいですね。
でもこの日飲んだのは、古代エジプトで栽培されていたエンマー小麦を用いて現代の製法で醸造したビール「ホワイトナイル」。本当はエジプト料理を供したかったけれど手配できなかったからエジプトを支配していたつながりでというトルコ料理のドネルケバブと共にいただきました。……ええ、いくつかあった特別講演会のなかから今回のを選んだ決め手は「軽食付」の文言でした。ビールもケバブも美味しかったですよ。古代の製法で作ったものを飲食して「不味っ! 現代人の口には合わんわこれー」とショックを受けてみるのもまた一興かなと思いちと残念ですが、わざわざお金を払って不味いものなんて食べたくないというのももっともだし、「すみません、不味いからもう無理です」と大量の食べ残しを発生させてしまうのもよろしくないから、やっぱり今回のやり方でよかったかと思い直しました。
あ、エンマー小麦の栽培ってトルコあたりで始まったそうだけど、どんな風にしてエジプトに伝わったんでしょうか。質問タイムに訊いてみればよかったなぁ……今頃気づいてどうする約翰。質問タイムと言えば、他の人と中野先生との質疑が聞こえたんですが、講演会で話が出てきた新王国時代のビールの製法(パンを水に浸し発酵させたものを使う)だと失敗しやすいうえにあまりアルコール度が高くならないので、限られた時期・状況で取られた方法だったかもしれないというような話でした。また機会があればもっと詳しく知りたいです。

再び展覧会の方に話を戻しますが、今回は図録を買いました。でもちょっと物足りないなというのが正直な感想ですね。もっと解説とかコラム等の読み物を充実させて欲しかった。でも、第21王朝時代に行われた再埋葬の際にラムセス2世のミイラに手向けられた青スイレンの花輪の写真が見られたのは収穫でした。リズ・マニカ(リーセ・マニケ)の『ファラオの秘薬』によればラムセス2世のミイラの花はカイロの農業博物館とパリ国立自然史博物館にあるようですが、オランダのライデン博物館も所蔵してたんですね。

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