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「……テスカトリポカ星……?」
 

いい加減にインカ展の話を書かんとな、と思い続けてはや2週間あまり、しかしうっかり「有名以下略」のことを思い出してしまい、ついそちらに向かおうとして脇道にそれ大いに迷走……という、お決まりのパターンであります。
 

さて、「テスカトリポカ星」とは何か。
小惑星にもテスカトリポカという名を持つものがありますが、今回話題にしているのはTezcatlipocacītlalli、ナワトル語で木星のことです。ナワトル語では木星はHuēyitzitzimicītlalli(大ツィツィミトル星)・ Mātlālcītlalli(青い星)とも呼ばれます。
しかしこのTezcatlipocacītlalliなる名称、どうもアステカ時代からあるものではなく割と最近になって付けられたものではないかと思います。
というのは、他の惑星の名称がそれぞれこんなだからです。
 水星Payīnalcītlalli・Xolocītlalli  (パイナル星・ショロトル星)
 金星Cītlalpōl・ Huēyi Cītlalli・Tlāhuizcalpan Tēuctli (大きな星・大きな星・トラウィスカルパンテクトリ)
 火星Chīchīlcītlalli・Huītzilōpōchcītlalli(赤い星・ウィツィロポチトリ星)
 土星Tzitzimicītlalli・Tlazōlteōcītlalli(ツィツィミトル星・トラソルテオトル星)
 天王星Ilhuicateōcītlalli・Ilhuicatēcacītlalli・Xiuhtēuccītlalli(天の神の星・天の者の星・シウテクトリ星)
 海王星Tlāloccītlalli(トラロック星)
 冥王星Mictlāntēuccītlalli(ミクトランテクトリ星)

「メルクリウス→神々の使者→パイナル」のようにアステカの神々をローマの神々に対応させているらしいので、これら惑星を神々になぞらえた名前は、古代から重要視されていた金星以外は後世に付けられたもののようです。天王星・海王星・冥王星は古代には見つかっていなかったはずだし、ウィツィロポチトリが火星担当なんて本来のアステカ神話的には考えにくいし。前の記事と関連しますが、これは「マルス→軍神→ウィツィロポチトリ」ということでしょう。テスカトリポカが木星なのも同様に、「ユピテル→神々の王→テスカトリポカ」という流れでしょう。「せっかく先祖伝来の神話があるんだから、ローマのじゃなくこちらの神々の名前で呼ぼう!」ということかと思います。土星→トラソルテオトルはよく分かりませんが、木星Huēyitzitzimicītlalliと土星Tzitzimicītlalliは似たものと考えられているようなので、テスカトリポカと共に懺悔に関わるトラソルテオトルが選ばれたのかもしれません。
っていうか、HuēyitzitzimicītlalliとTzitzimicītlalli、これら2つの名称はいつごろからあるものなのか、なぜこれらの星がツィツィミメと見なされるのか、その辺りも知りたいです。テスカトリポカがツィツィミトルになったという話もあることはあるけど……。
ちなみに、『フィレンツェ絵文書』にも出てくる太陽の館Tōnatiuh Īchānという言葉は、現代では太陽系を表わす言葉として用いられているようです。こういうのを見ると、ナワトル語って形を変えつつ昔から現代まで使い続けられている言語なんだなぁと感慨深いものがあります。
 

とまれ、アステカマニア的には夜空を見上げる楽しみが1つ増えました。
それはいいんですが、……ついうっかり、セーラー戦士のコスプレをしたアステカの神々を想像してしまいました……どなたか描いてくださいませんか。
 

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