Tasteless Blog

2015年も1/4以上過ぎてしまったというのに、ようやく今年最初のブログ更新……すみません、一応生きてはいました。

先日、ヨワルテクトリで検索していて『蒼穹のスカイガレオン』というゲームでは彼は女性になっているということを知りました。SM女王様……なんでそういうイメージになったのか、想像は付くけど……ヨワルテクトリは女神じゃねぇ。
やっぱり『ヴィジュアル版世界の神話百科アメリカ編』でトナティウの配偶神だなんて訳すから、配偶者のことだと誤解されてこんなことに。紛らわしい言い回しだよなー……と思っておりましたが、そういえばエジプト神話の本でも配偶神って単語は使われてました。『図解エジプトの神々事典』にはちょくちょく配偶神と書かれている、ということは配偶神という言葉自体は別におかしくないのでしょうか。
「有名だからといって信頼できるとは限らないアステカ神話のあれこれ・その1」の「トナティウの妻は夜の太陽ヨワルテクトリ」の項にも書きましたが、配偶神とはcounterpart(フランス語ではcontrepartie)の神話分野における訳語のようです。この単語は「対の片方、片割れ、対応するもの・人。そっくりなもの・人」という意味はありますが、「夫または妻」といった婚姻関係を示すような言葉ではありません。
「対応するもの、そっくりなもの」という使い方が分かりやすい例として、スーザン=ミルブラス『Heaven and Earth in Ancient Mexico』より以下に引用します「In the Maya Area, K’awil seems to be the counterpart for Tezcatlipoca」。これは「マヤ地域では、カウィールがテスカトリポカに対応する神のようだ」というようなことであって、テスカトリポカとカウィールが夫婦関係にあるとは考えられないでしょう……ないよね?
また、他の地域の神話での例としては、こういうものがあります。「List of Roman Gods and their Greek Counterparts」ゼウスとユピテルが夫婦関係にあるとは考えられないでしょう……ないよね?
しかし、配偶者を強く連想してしまうため、日本では本来の用法ではないのですが「配偶神=配偶者(夫または妻)である神」という意味合いで用いられることの方が多くなってしまったようです(専門家の間ではどうだか知りませんが、一般の神話ファン等において)。
もっとも、実際、男女のペアだと夫婦関係にあることが多いので、結果的に「配偶神=配偶者である神」になっているケースもあります。しかし、それはあくまで結果的にそうなったということであって、counterpart本来の意味ではないので、誤解のないようにしなければなりません。
ともあれ、日本語の文章に出てくる配偶神という単語は「counterpartの訳語(本来の用法)」と「配偶者である神(誤用)」の2つのパターンがあり得るので、読む際にはどちらを意図して書かれているのか注意する必要があります。

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