Tasteless Blog

蛙のヘソ

4月 19th, 2010

前からなんとなく気になっていたんですけど、「トラウィスカルパンテクトリ」のことを「トラヴィス・カルパン・テクトリ」としている資料があるようですね。また、名前の意味も「暁の主」だったり「暁の家の主」だったりしますが、どちらがより正確なんでしょうか?

「トラヴィス・カルパン・テクトリ」というのは、おそらく「Tlavizcalpantectli」というスペル(『ヴァチカンA絵文書』『テレリアーノ-レメンシス絵文書』などに見られる)を現代英語風に読んだものでしょう。しかしナワトル語にはvの音はないので、これは不正確な読みです。
多分当時のスペイン語ではwの音を表わすのにvの字を用いていたんだと思います(ラテン語やったことのある人ならイメージしやすいと思う)。これらの絵文書が書かれたのは、日本で言うなら戦国時代の頃なんですよね。当時と今とでは、日本語の仮名遣いだって変わってるんだから、スペイン語の綴り方だって変わってておかしくないはずです。

そういえば、「トラヴィス・カルパン・テクトリ(Tlaviz-calpan-tectli)」という区切った表記の出所はどこなんでしょうか、少なくとも先に名前を挙げた絵文書には見られなかったけれど。
実際にはこの名前は、「tlahuizcalli」「pan」「teuctli」という単語からなっています。しかし「pan」は後置詞で他の語の後につくものなので、もし「Tlavizcalpantectli」を区切って表記するなら「Tlavizcalpan tectli」となるのでしょう。なお、「tlahuizcalli」は「tlahuitl」と「izcalia」から成る語で、意味は「暁の薄紅色の光」です。で、これに「表面で」ないし「ある特定の時」を表わす後置詞「pan」がつくので、多分訳は「暁の薄紅色の光の刻」とでもなるのでしょう。が、なんか長いので「暁」にまとめてしまってもかまわない気もします。
「家」はどこから入ってきたのか? それはおそらく、「tlahuizcalli」の「calli」の部分を「家」を表わす「calli」だと解釈してしまったところからでしょう。
「teuctli」は「首長・貴族」といった意味だからこれは別にツッコまなくても……あ、そうそう、「tectli」なら「ガラガラヘビ」なんじゃないかと一瞬思ったんですけど、ここは「teuctli」の方が正しい綴りらしいです。古い文書では「teuctli」を正確に音写できてなかったけれど、その後の研究で正しい発音が判ったみたいです。

ナワトル語のアルファベットおよびカナ表記についてのまとめを作った方が後々便利かな、という気がしてきました。いつできるかは判らないけれど。そもそも需要があるのかも判らないけれど。

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