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ニルツェ! 白暁さんが素敵なイラストを描いてくださったり、海外の方々からウチのアステカ絵が気に入ったという反応を頂いたり、すっかり調子こいている約翰であります。

アステカの神様の中には妻帯者が結構いますが、そういえばウィツィロポチトリの配偶者の話って聞かないなぁ、とふと思いました(って、前にもそんなこと言ったな)。ひょっとして、彼を破滅させようとする姉妹のせいで女性不信になってしまったとか……って、何を阿呆なことを言ってるんだ約翰。でも彼はホモも嫌いそうだから(アステカでは男色はご法度)、「色恋沙汰など無用! ただ戦いあるのみ!」みたいな感じなのかなぁ……って、だから何を言ってるんだ約翰。

ところで、ウィツィロポチトリの妹マリナルショチトルのヴィジュアル資料が見つからず難儀しております。美しいということしか判らない……約翰の脳内では暫定的にマリナリの絵文字(頭から草が生えた髑髏)の擬人化になってしまってますが、盛大に間違っているはずです。

テスカトリポカの妻としてはトシュカトルの祭りに関して4柱の女神(ショチケツァル・シロネン・アトラトナン・ウィシュトシワトル)の名が挙げられますが、改悛者の懺悔をテスカトリポカに取り次ぐとされるトラソルテオトルの名は出てこないんですよね。これも以前お話ししたことと関連しますが、テスカトリポカがトラロックの最初の妻を奪ったという神話について。その最初の妻とはトラソルテオトルなのかショチケツァルなのか……『メキシコの神話伝説』『マヤ・インカ神話伝説集』(共に原著は1928年初版)及びその参考文献『The Native Religions of Mexico and Peru』(1884年)『Mythologies of Mexico and Peru』(1913年)ではトラソルテオトルになっていますが、近年の本ではもっぱらショチケツァルになっているようです。この神話の原典とされる『Historia de Tlaxcala』ではショチケツァルとなっていたので、多分ショチケツァルなんじゃないかと私は思うんですが……『The Native Religions of Mexico and Peru』や『Mythologies of Mexico and Peru』が書かれた頃には、トラソルテオトルとショチケツァルを同一視する見解が一般的だったということでしょうか? そしてその後の研究で、関連はあるけれど同一の存在となるほどではないという見方が主流になっていったとか?
でもショチケツァル、他の史料ではピルツィンテクトリの妻だったりセンテオトルの妻だったりもするんですよね。また、トラロックは最初からチャルチウトリクエと夫婦としてセットで創造されたという神話もあります。

こうした神話のバージョン違いについてですが、「これが決定版!」というのは多分ないと思います。地域や時代によって色々変わったりするものだろうし。無理やり統合して1つのまとまった話を作ろうとするのも何か違う気がするんですよね(「神話を基にした創作物語」ということなら全然OKですけど)。少なくとも、「我らが守護神ウィツィロポチトリ様は由緒ある偉大な神なのである!」な『絵によるメキシコ人の歴史』と「ウィツィロポチトリ? そんなものいりません。それよりもケツァルコアトル様ですよケツァルコアトル様」な『太陽の伝説』は混ぜちゃいかんと個人的には思ってます。いや、『絵による』はケツァルコアトルもしっかり立ててますけど。例えば、ウィツィロポチトリとケツァルコアトルが協力してさまざまな創造を行ってたり、『太陽の伝説』のと類似の第5の太陽創造神話(ケツァルコアトルの息子が太陽になり雨の神トラロックの息子が月になる)が入ってたりするし。もっとも、そこではウィツィロポチトリは生贄にはなってませんが。『絵による』は「ウィツィロポチトリはテスカトリポカやケツァルコアトルと同じくらい偉大な神である」と主張しているというか……でもケツァルコアトル派にしてみれば、古来より信仰されている自分たちの神とポッと出の成り上がり者が同格扱いされるなんて納得いかないんじゃなかろうかと。で、ケツァルコアトルのものである第5の太陽を動かすために死ぬだけの役としてウィツィロポチトリを『太陽の伝説』に登場させたんだろうか、なんて気がするんです。
まぁ、矛盾しない部分については組み合わせるのは構わないかとも思うけれど、でもそれぞれの伝承の重視するものの違いとかについても考えてみた方がいいとも思います。

とにかく、上に挙げたような理由により、約翰が描くアステカの神々にはごく大まかな設定しかありません。細部については「今回はこの伝承の設定で」「今回はこの解釈で」といった感じでちょくちょく変わります。ご理解のほどよろしくお願いいたします。

余談ですが、トラソルテオトルとチャルチウトリクエの関連も気になります。『Florentine codex Book1』の脚注によれば、『オーバンのトナラマトル』では第5週のページでチャルチウトリクエがトラソルテオトルの生首を持っているとか『ボルボニクス絵文書』では第5週に関連するページで水の女神の玉座から発した水流の中にトラソルテオトルの頭飾りがあるとかいうんですが。
さらに余談ですが、『The Native Religions of Mexico and Peru』の発行年。1884年っていったら、切り裂きジャックが現われるより前のことなんですね(ジャックの事件は1888年)。そういうとものすごく昔のことだという気がしてきます。

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