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「何だこの想像力の欠如を具象化したような建物は」宛のコメントに返信しております。

まったくもう、ワルズ・ギル皇子は今回も面白いなぁ。
パカチャマック、じゃなくてパジャマチャック、じゃなくてパチャカマック13世。

……いやいや、これは古代ペルーのシカン神です。もっともパチャカマック遺跡でもシカン神を描いた遺物は出てますけどね、ってそういう問題じゃないだろ約翰。
ええとその、今日が最終日だったんで行ってきたんですよ『インカ帝国のルーツ 黄金の都シカン展』。で、写真OKだったから撮ってきました。この展覧会については「やっぱり『インカ』とか『黄金』とかってキャッチーだよね、『シカン』だけじゃ何それで流されかねないもんね」などとちょいとひねくれたことを言いつつもしっかり楽しみにしておりました。
そして実は展覧会開始翌日の1月30日にも行ってたんですが、その時は撮影可能なことに気付かなくて撮ってなかったんです。
なんで1月30日だったのかというと、BIZEN中南米美術館(BLAM)の森下館長の講演が聴きたかったからです。という訳で以下、講演の様子を簡単にご紹介。
講演会場にて、司会の女性から紹介を受けて登場した館長さんがいきなり吹き鳴らした笛の音を聞いて「あ、これ! マヤの土笛!」と、約翰のテンションはさっそく上昇。
こうして始まった講演は『目からウロコの古代中南米』ということで、土蔵の中にあったお祖父さんのコレクションの古代中南米の美術品を遊び道具にしていた館長さんの子供時代のエピソードから、まずは子供の目で館内発掘を楽しみましょう、そして知識を持ってから改めて見るとより面白くなる、といった話を、BLAMの活動紹介なども交えつつ展開していきました。
館長さんの話にあった「片手に鳥瞰図、片手に虫眼鏡」という言葉は肝に銘じておこうと思いました。ほら、ウチってとかく細かいネタにばかりハマりがちじゃないですか……全体も見ないとね。
講演終了後、館長さんに「お久し振りです」とご挨拶に行きました。私の隣にいた女性が話している間、館長さんが美術館スタッフに黙って持って来たというシカン神の顔がついた黒色土器の壺をガン見していたら、視線に気付いた館長さんが土器を持たせてくださいました。いかにも重厚そうに黒光りするそれは手に取ると見た目の印象に反して軽く、不思議な感覚になりました。盗掘の際に付いたと思しき壺の背面の傷の補修跡の説明も聞けたし、いい体験をさせていただきました。
「最近アステカ神話関係の本を集めてて、自分で訳してみてるんです。要約とかいくつかの話を合わせたものとかはあっても、そのままを訳したものってなかなか読む機会が無いじゃないですか」と言ったら、館長さん曰く「需要が無いですからね」……そうですよね、無いですよね……。

館長さんと約翰。

展覧会の方も充実の内容でした。でなきゃリピートなんてしませんよ! 美術としても楽しめ、考古学的な興味にも応えてくれます。
黄金のトゥミ(儀式用ナイフ)は、同じものか類似のものかは判らないけど、とにかくこういうものは確か昔天満屋デパートでやってたペルー黄金展だったかなんかそんな感じの展覧会で見たことがあったな、あの頃はエジプトにハマったばかりだったからペルーまで手が回らなかったけど(って、今は今でアステカで手一杯になってるけど)、この形とか色とかシカン神の顔とかは以来ちゃんと印象に残ってる……と、なんだか懐かしい気持ちを起こさせるものでした。
シカン神の顔は多くの展示品についていましたが、その中には心なしか微笑んでいるように見えるものもあって、そのことが妙に印象的でした。
黄金のトゥミと並ぶこの展覧会のもうひとつの「顔」、黄金大仮面はやはりインパクトがありました。まず圧倒されるのはその大きさ。それから、デザインの不思議さや細工の細かさや使用されている素材の質感などにも目を奪われます。
会場内では発掘の様子のダイジェストなどいろいろなビデオが流されていましたが、シカンの特徴的なアイテムのひとつ黒色土器の再現実験のビデオは実際に本物の当時の土器を触らせていただいた後だったからか特に印象に残りました。
印象に残ったといえば、黄金の装身具を身につけたシカンのエリート男性想像図の前で小学校高学年ぐらいの女の子が「なんで王様なのにちゃんとした靴履いてないの?」とか「なんでこんなの鼻につけるの? これオシャレじゃないよ!」と親御さんを質問攻めにしていたのも頭から離れません。
他にもいろいろ面白いものはあったんですが、いちいち挙げていくとキリがないので割愛いたします。
しかし、こういう展覧会を見ると、やっぱり遺跡遺物はちゃんとした手順で学術的に発掘されてこそだよなぁとしみじみ思います。盗掘だと金銀宝石骨董品といった意味でのモノは手に入っても、出土した状況などを分析したりそこから推察したりすることによって得られる知識というお宝は大いに失われてしまいますもんね。

とまぁそんな感じで閉館時間ギリギリまで会場にいたんですが、帰るために下りのエスカレーターに乗ったら入り口の所に貼られていたポスターがさっそくベリベリとはがされていく様子が見え、展覧会の余韻に祭りの後的寂しさをぶっ掛けられてちょっと目が虚ろになりました。

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