Day's eye

 当サイトではルイージ×デイジーのカップリングを推奨しています。という訳で、今回はデイジーについて少し考えてみました。

 『マリオテニス64』で初めてデイジーの存在を知った人もいるかと思いますが、彼女の初登場は1989年発売の『スーパーマリオランド』でした。その後、『マリオオープンゴルフ』のタイトル画面(だけ)に出ています。
 『スーパーマリオランド』では、デイジーはサラサランドのちょっとおてんばなお姫様。サラサランドを乗っ取った宇宙怪人タタンガに、妃にするためにさらわれましたが、マリオに救出されました。 ルイージは関わっていません。ルイージ×デイジーを推す者にとっては辛いことです。
しかし、このカップリングに根拠がないかというと、そうでもないのですが。
『マリオオープンゴルフ』では、マリオ&ピーチ・ルイージ&デイジーという組み合わせで描かれています。それだけなんですが、……深読みすると、『ランド』でマリオに助けられたデイジーは、ゴルフ大会があるというのでマリオの応援にやって来た、ところがそこで逢ったルイージと意気投合して、……なんてことにはならないでしょうか。

 それから、映画も忘れてはなりません。
  1993年のハリウッド映画『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』では、デイジーは、白亜紀末に隕石落下の衝撃で異次元に飛ばされて、知的生命体として進化した恐竜の王女だが自分の素性を知らずに人間世界で育ったという設定でした。そして、次元を融合させる隕石のかけらを持ったデイジーを追っている恐竜世界の独裁者クッパとマリオ兄弟との戦いが起こる訳ですが、その中でルイージとデイジーとのロマンスも描かれています。
映画の出来などについては措くとして、これは重要なことです。もっとも、映画はゲームとは設定が異なる上、デイジーのことを「ピーチのアメリカでの呼び名」だと思っている人が多くいた(映画のパンフにもそう書かれてる…泣)といった問題はありますが。
 なお、この「デイジーとピーチの混同」は、『スーパーマリオコンパクトディスコ』(1993)でも見られます。『プリンセスのテーマ〜セイヴ・ミー』ですが、なんで”Kinoppio Yo”なんじゃい。クッパもハンマーブロスも『ランド』にはいませんし……”SAVE ME”自体は結構好きなんですけど。そういえば、「どのゲームにも存在しないプリンセスのテーマを……」と解説にはありますが、実はデイジーのテーマはちゃんとあるのです。『ランド』メイン曲をゆっくり目にしたような感じの曲。また、『スーパーマリオカート』ではゴール時の曲がキャラごとに設定されてますので、ピーチの曲もあります(私はルイージがゴールした時の曲を携帯の着メロにしてました)。
 映画に話を戻しますが、プリンセスのお相手がルイージになったのは、もっぱら絵的な都合なのでしょう。「ヒゲ親父じゃなぁ〜」ってことで。かくして、ロマンスの要素を盛り込むべく、ルイージは歳の離れた弟ということになったのです、きっと。「マリオ=ヒゲ親父」という図式は崩せないでしょうが、ルイージにはそれほど強固なイメージがなさそう(苦笑)だし、「弟」だし。

 ところで、何故映画に登場したプリンセスはピーチではなくデイジーだったのか、とも思いますが、それは恐らく名前の問題でしょう。
デイジーはアメリカでもデイジーなのですが、ピーチはトードストゥールと呼ばれています(『映画原作 スーパーマリオ』『メイキング・オブ・スーパーマリオ 魔界帝国の女神』参照)。
toadstoolとはキノコのことですが、普通人名には使われない言葉です(peachもですが)。それに対し、daisyは人名としてもポピュラーなので、こちらが選ばれたのだと思います。

雛菊

 折角だから、名前考察もいっときましょうか。
daisyとは雛菊のことですが、語源は”day's eye”「日の目」すなわち太陽のことです。
花の芯を太陽に、花弁を光線に見立てた命名だそうです。また、この花は日中開いて夜閉じるところから、太陽崇拝の象徴ともされています。……え?「マリオで太陽っていうと襲われそうで嫌」? そんなこと言わないように。
 先にdaisyとは雛菊のことだと書きましたが、アメリカではもっぱらフランス菊のことを指すそうです。なので、映画でルイージが「デイジーなんて子に会うのは初めてだ。花のほうなら、何度も見たことあるけど……」と言った時、イメージされていたのはマーガレットに似た花だったのでしょう。

フランス菊

 雛菊の花言葉は「無邪気」「無意識」(ちなみに、桃の花言葉は「恋の虜」)。
雛菊には、ベリデスという森の妖精が、女神に願ってこの花に姿を変えてもらったという神話や、中世の騎士が戦いに赴く時、恋人にこの花で首飾りを作ってもらったという話があります。
 何故サラサランドのお姫様はデイジーと命名されたのかについてですが、daisyには「素敵な人」「可愛い娘」といった意味もあるので、そういったイメージからでしょう。なお、peachにも同様な意味があります。「なんでキノコの姫が桃?」という疑問に対する答えは、これでしょうか。で、アメリカでは、「まぁそれはそうだけど、やっぱりキノコと桃は結び付かないでしょう普通」ということで、Princess Toadstoolになった、と? Daisyは普通の人名なので、特に問題はなかったのでしょう。

 またルイージとの関係に話を戻しますが、ゲームでは一応共演したとはいえ、ルイージがデイジーを救出する、といった展開はありません。
私としては、ルイージがデイジーを助け出すのを見たい気持ちはかなり強めです。
……ああ、でも、デイジーが再登場したのは、ルイージのパートナーとなるためだったのですから、(「マリオとピーチというような組み合わせを、ルイージにもと考えて、それで『誰かいないの?』という話を任天堂さんにしたら、 『実はデイジーっていう女の子がいるんですよ』という答えが返ってきたんです」『The 64DREAM 2000年7月号』参照)「ルイージはデイジーを救った」といえるかも。
 取り敢えず今はそれで良しとしましょう、でもいつかは……。

 

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