レミー

Lemmy Koopa  緑の顔と甲羅にレインボーなモヒカン(『SMW』ゲーム画面では黄色い顔と甲羅、白モヒカン)。イギーによく似ていますが、焦点の合ってなさそうな目とその横の2筋のピンクのラインがレミーの特徴です。一番小柄なコクッパでもあります。
 『NSMBW』では甲羅の色がオレンジになり、髪型もモヒカンの下に黄色い髪が一房下がるようになりました。顔の2本線もオレンジになってます。
 声優は、『NSMBW』ではLani Minella、アメリカで放送されていたアニメではTara Charendoffです。

 『SMB3』では氷の国、『SMW』ではバニラドーム、『ハンティング』では草原コースの、『M&L』ではクッパ城・レミーの部屋のボスでした。
『SMB3』では自分もボールに乗りながら、ボールを飛ばして攻撃しました。このボールはウェンディのリングのように壁や床に当たると跳ね返りますが、プレイヤーも上に乗れる点が異なります。『SMW』では土管からダミー2体と共に顔を出す、モグラ叩きのような戦い(バブル1個つき)。なぜかいずれもウェンディと同じような攻撃です。『ハンティング』ではレミー自身の姿を模したロボットに乗り込んで攻撃してきました。『M&L』ではマリオとルイージが近付くと分身します。ハンマーで殴って本体を当てればいいんですが、偽者を叩いた時の笑顔が、そして本体がバレた時の泣き顔が可愛すぎ。ああもう泣くなー! 可愛いからー! ……でも戦闘開始。戦闘時も分身を使いますが、攻撃手段はプチブレスのみです。分身もウェンディと共通ですね。イギーと似ているとよく言われるレミーですが、こうしてみると攻撃方法はウェンディに似ています。そしていつもウェンディの方が強いという……先にウェンディの項で、アメリカ版の『SMW』(『SMA2』)紹介ページでは、戦闘に関してウェンディがレミーに模範を示したとありましたが、多分後付だろうけれどそうなるのも無理はないというか。『NSMBW』では、砦では、床が凍っていて左右が空いているということ以外は『SMB3』の時と大体似たような感じです。城では、レミーが乗っているボールが砦の時よりも大きくなり、杖から発射されるボールの数も増えます。レミーがボールを出す動作は、杖を後ろに構えてぐるぐる回してから前に振り下ろすというものです。
 また、これは日本では発売されていないのですが、『Hotel Mario』では4軒目のホテル、ハイアット=リージェンシー=ホテルをもじった「Lemmy's High-ate Regency Hotel(レミーのハイエイト=リージェンシー=ホテル)」のボスだそうです。「High-ate」っていうのは、何なんだろう…「大いに食べた」とでも言えばいいのか……? 気の利いた訳が思いつかずすみません。『ホテル』では雲の上のステージが舞台で、プロペラを腰につけて飛びながら紙飛行機を飛ばして攻撃したそうです。レミーが登場する面は「Lemmy's Sky-Hideout(レミーの空の隠れ場所)」と呼ばれます。日本未発売といえば、『Mario is Missing!』MS-DOS版でもベータ版までは存在したそうですが、製品版ではモートンともども出番がなかったとのこと。

 このコクッパがレミーと名付けられたのは、Koopaprinceさんによると、1970年代のメタルバンド・モーターヘッドMotorheadのレミー=キルミスターLemmy Kilmeisterから取ったんじゃないかということです(Google画像検索)。で、Lemmyという名前は、どうやらレミュエルLemuelの愛称ということらしいです。なお、Lemuelの原義はヘブライ語の「神への献身」、旧約聖書に登場する王レムエルの名から来ています。
 しかし、レミー=キルミスターとコクッパのレミーって、見た目的には共通点はあまりなさそうですよね。レミー=キルミスターといえばヒゲ面・長髪・頬のイボがトレードマークだけれどコクッパのレミーにはいずれも当てはまらないし、もちろんレミー=キルミスターが玉乗りで有名な訳もないし。と、ここで話を戻しますが、レミーの攻撃方法はウェンディのと似ていますよね。実はこのことが彼がレミーと名づけられることになるきっかけだったのではないかと私は思います。というのは、こんな画像(※おっぱい注意)を目にしたからです。
 上で紹介したのは、レミー=キルミスターとウェンディ=O=ウィリアムズとがコラボした『Stand by Your Man』というレコードのジャケットです。これを見て私は、このコラボがヒントになってコクッパの個人名の命名者はウェンディと似た攻撃法の男コクッパにレミーと名づけることを思いついたのではないかと考えました。そして、そのウェンディと似た攻撃法の男コクッパにレミーと名づけたことから、イギー及びラリーの名前も決まったのではないでしょうか。
 まず、後にルドウィッグとなるコクッパを見て「こいつの髪型ベートーヴェンみたいだなぁ」というのがあったと思うんです。で、「このサングラスはロイ=オービソンを連想する」「でかい口って言ったらモートン=ダウニーJr.のアレだよね」みたいな話が出て、「じゃあコクッパの名前は芸能人から取ろうか」ということになったんじゃないかと。それから、「女コクッパの名前は過激なパフォーマンスで有名なウェンディ=O=ウィリアムズから頂くとして、さて残りのモヒカントリオはどうしよう……そうだ、ウェンディはモーターヘッドのレミー=キルミスターとコラボしてたよな。よし、あの玉乗りしてる奴はレミーにしよう、女コクッパと攻撃法が似てるしちょうどいいや」「いいね、それなら残りの奴らも似たような名前で揃えてみる? 髪形も似てることだし」といった流れで、コクッパ全員の名前が決まっていったのではないかと私は推測しています。あくまで仮説に過ぎませんが、でもこう考えるとレミー・イギー・ラリーの髪型のみならず名前まで-**yで似ていることや名前の元ネタと思しき人物との共通点の見付けにくさ(ラリーに至ってはどのラリーにちなんでいるのかすら定かではない)も理解しやすい気がするんですよね。ルドウィッグ・ロイ・モートン辺りは見た目的にわかりやすいしウェンディも理由は容易に想像できるのに何故モヒカントリオにはそういう元ネタがないのか、ネタ切れってことはないだろうアーティストなんて大勢いるんだし……という疑問にも答えられるかな、と。

 アニメでは、レミーはヒップ(Hip)という名でした。腰回り……多分、ヒップホップってことじゃないかと。ホップ(Hop、イギーのこと)と双子という設定で、一つの台詞を分けてしゃべってましたから。恐らく、よくジャンプするイギーを見てホップという名前を思い付き、それに引っ掛ける感じでレミーをヒップにしたんでしょう。容姿が似ているから。もっとも、名前こそヒップホップですが、別段チェケラッチョなノリだったりはしませんでしたね。『The Adventures of Super Mario Bros. 3 Writers Bible』での解説はイギーの項に載せたので(ヒップ&ホップでひとまとめにされていた)そちらをご参照ください。

 『SMB3』の取説、8つの王国の紹介ページでの台詞は「マリオのヤツがどこまでガンバレルか楽しみだなー。ワールドのマップも先へ進むにつれ、どんどん複雑で広大なものになってくるよ。それはそうと、暗黒の国だけはオヤジしか知らなくて何もわかんないんだ。でも、何か、すごい新兵器を作ってるのをちらっと見たことがあるよ」。アメリカ版では「How far can Mario go? I hope he doesn't make it this far. Dad has many complicated tricks waiting for him in the Dark Land. I've even heard about some new weapon that dad's been making.」「マリオはどこまで行けるかな? こんなところまで来られなければいいんだけど。オヤジは複雑な策略をたくさん用意して暗黒の国であいつを待ってるよ。何か新兵器を作ってるって聞いたなぁ」。ロイといい、どうもあちらのはマリオ達が来ることをあまり期待していないような。敵なんだから期待する方がおかしいという考えなのかも知れませんが。
 『NINTENDO POWER』に掲載された『SMB3』攻略記事の台詞は「Welcome to Lemmy's Magical Circus, Mario!!! Would you like to have some fun with these magical balls? See if you can balance yourself on top of them like I can. Ha Ha Ha!」でした。「レミーのマジカル・サーカスへようこそ、マリオ!!! この魔法のボールで楽しみたいかい? ボクみたいにこの上でバランス取れるなら見せてくれよ、ハハハ!!!」。レミーのボールにはプレイヤーも乗れるんですよね。
 『SMW』のレミーの城クリア後の英語版メッセージは「Mario has triumphed over Lemmy Koopa of castle #3. Mario's quest is starting to get much more difficult. Have you found the Red and Green Switches yet?」「マリオは3番目のお城のレミー=クッパに勝利を収めました。マリオの探求はますます困難になり始めています。赤と緑のスイッチはもう見つけましたか?」で、ここからは特に彼の性格等について伺えることはありません。
 『NSMBW』日本版公式サイトでのキャラクター紹介ページでの説明は「あどけなさが残る男の子ですが、玉を使ったトリッキーな攻撃はあなどれません」。「あどけなさ」とか「男の子」とか、小ささ子供らしさが強調されている印象を受けました。
 製品版ではオミットされてしまったものの、途中まではレミーも存在していたというMS-DOSの『ミッシング』でのレミーの台詞は、以下に示すようなものです。「You know, Luigi, a smart guy like you ought to join up with the winners. Here's a nice turtle shell you can wear. If you can't defeat us, you might as well join us.」「解ってるよねルイージ、キミみたいな頭のいい奴は勝ち組の側につくべきだよ。ここにキミが着られる素敵なカメの甲羅があるよ。キミはボクらのことやっつけられないんなら、ボクらの味方になった方がいいよね」「What's a nice plumber like you doing in a place like this? With your talents you ought to be unclogging drains somewhere, not trying to embarrass yourself as a detective.」「キミみたいな素晴らしい配管工がこんなところで何してんの? キミはその才能でどこかの排水管の詰まりを取るべきだよ、探偵なんかになってまごつこうとなんてしないでさ」「So, you had a little trouble in the city? Not everybody's cut out to be a super hero. Take a job with us, Luigi, you could always dump our trash and maybe do a little cooking.」「そう、キミ街中でちょっと苦労しちゃってる? みんながスーパーヒーローになれる訳じゃないよ。ボクらのところに就職しなよルイージ、ずっとボクらのゴミ捨てをしてよ、それにちょっとした料理も作ってもらおうかな」「You're very strong and powerful, pal, but excuse me for not running. I mean, you don't have a fire flower, do you?」「ねぇ、キミってとってもたくましくて強いよね、でもボク逃げ出さなくてごめんね。いやその、キミ持ってないでしょ? ファイアフラワー」「On the level, Luigi. Put down that burning bloom man, and let's talk reason. There's no reason to get all fired up.」「公平に行こうよ、ルイージ。その燃えてるお花を下に置いてよ、それから訳を話し合おうよ。そんなに激怒する理由なんてないでしょ」。なんかイヤミっぽいなぁこのレミー。ルイージを味方というかしもべにしようとしてるのが面白いです。

 イギーに似ていると言われることの多いレミーですが、頭がいいというよりはむしろおっちょこちょいだとかとぼけてるとかいったイメージを持たれることが多いのはイギーとの大きな違いです。あの目付きのせいでしょう。また、玉乗りをしているところから、運動神経がいいという設定も付きます。『全スーパーマリオおもしろクイズ大百科』(宮朗美他/勁文社/1992)では「『3』では、氷の国のボスとして登場、玉乗りの芸当でマリオを惑わせ、『ワールド』になると小賢しくも影武者を引き連れ(それも2匹も!)、バニラドームでマリオに挑んだ。小細工が得意なコイツは誰だ?」という設問がありましたが、これは珍しい例かも。
 あどけない様子やコクッパの中ではあまり強くない方ということからか、レミーにはコクッパの中ではあまり好戦的ではないというイメージがあるようです。マリオと戦うことよりもサーカス団に入ることを望んでいるとか、「南極の氷を溶かして地球を水浸しにするというクッパの計画を手伝うよりも雪で遊ぶ方がよかった」という理由で『Mario is Missing! 』には出なかったのだと言われていたりもします。
 また、初登場の『SMB3』以来やたらと氷のステージに縁があるため(『ホテル』では氷のステージはラリー担当だけど、あれは任天堂製じゃないから別か)、レミーは氷や雪が大好きだと考えられています。
 レミーの性質に関する表現としては他にも、アメリカ任天堂の『SMA2(SMW)』紹介ページに「Lame Lemmy」という表現がありました。向こうの人はこういう韻を踏んだ表現が好きなんでしょうか? ああしかし貧弱なレミー、野暮なレミー、ダサいレミー……どうしてこういう言葉遊びするかなぁ。ちなみに、『SMA2(SMW)』のレミー紹介コメントの全文は「Lame Lemmy fancies himself to be the leader of the Vanilla Dome Fortress. When threatened, Lemmy hides in a pipe and uses two fake models of himself to draw unfriendly fire. Hop on the real Koopa's head three times to escape safely.」「ダサいレミーは自分はバニラドームの砦のリーダーだとうぬぼれています。危険が迫ると、レミーは土管に隠れ、敵対的な炎にを引き寄せるために2体の自分の偽者を使います。安全に逃れるために本物のカメの頭を3回踏んでください」。そうそう、言葉遊びといえば、レミーは「clown prince」と呼ばれることもあります。「crown prince」と引っ掛けたもので、皇太子ならぬ道化王子ということですね。
 そして、『M&L』では「ちっちゃくてかわいいもの」というイメージなんだろうなぁ……。このゲームには「キャラの性格を描きすぎ」という批判もあるようですが、コクッパには台詞がないので、適度に妄想の余地があるという風にも取れますね。実際のところは容量やらスケジュールやらの都合なんでしょうが、敢えてプラス方向に解釈してみます。

 ところで、さっきからたびたびレミーとイギーは似ているという話をしてますが、ラリーもイギーに似てるとよく言われています。名前を取り違えられることや、それを逆手に取ったマンガさえあったり。名前が似ている件については先に考察しましたが、それにしても、7人中なぜ3人もモヒカンが……?
 そうそう、ラリーと言えば、ラリーやウェンディやロイの項でも言及したアメリカのマンガでは、台詞が文字ではなく絵になっているラリーの言っていることを理解できるのはレミーだけでした。ラリーとレミーという組み合わせは何によって思いついたものなんでしょう? ところでこのマンガはその後、コクッパたちはクッパのためにピーチをさらうけれど逃がしてしまうという展開になるんですが、その際クッパに「お前らにはひどくガッカリだ! レミーお前は別だ、お前が厄介な馬鹿たれだってことは解っていたからな!」と言われてしまうんですが、他の兄弟が逃げ出す中でレミーは平気な顔をして玉乗りしたまま「ありがとう、オヤジ」なんて答えてるんですよね。これはどう解釈したらいいのか……。

 海外のコクッパファンの間で回っていた『「あなたはどのコクッパ?」バトン』での、レミーに関する質問は以下のとおりです。
  ・ちょっとクレイジーだ
  ・バランスをとるのがとてもとても上手い
  ・サーカス団に入りたい
  ・氷の国を占領したい
  ・雪が大好きだ
  ・髪型がポニーテールだ
 ……あなたはいくつ当てはまりましたか?

<ロイ コクッパとは? ルドウィッグ>

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