ルドウィッグ

Ludwig von Koopa  緑の顔と甲羅、左右に大きく広がった青紫のロングヘア、上顎の中央に1本の牙があるコクッパ。『SMB3』ゲーム画面では緑の顔と甲羅に白髪、『SMW』では黄色い顔と甲羅に白い髪。『キャラクター大百科』では「今どき流行遅れのロングヘアー」と評されてましたが、その後またロンゲの流行がありましたね。それほど長い時間が経過していたのか……。
 声優は、『NSMBW』ではMike Vaughn 、アメリカで放送されていたアニメではMichael Starkです。

 『SMB3』では土管の国、『SMW』ではツインブリッジ&せんべい山、『ハンティング』ではキノココース、『M&L』ではクッパ城・ルドウィッグの部屋のボスでした。
 『SMB3』では魔法の杖から光線を発射しつつ素早くジャンプしてプレイヤーの動きを止める地震を起こしました。『SMW』では口から炎を吐いたり、ジャンプして空中で側転したり、甲羅に篭って体当たりをしたりと多彩な攻撃を繰り出しました。『ハンティング』ではカメ型のメカに乗り込んで攻撃してきました。『M&L』では、マリオたちが来ると甲羅にもぐってぶつかってきます。マリオたちが避けきると、ルドウィッグは一旦姿を消します。不審に思いつつも部屋を出ようとすると、いきなり背後に現れて高笑い。……この時、正直「ギャー、やられた!」と思ったものです、ええ。畜生、格好よすぎじゃルドウィッグ。甲羅に入るところからして素敵じゃー! ……先が思いやられますが取り敢えず戦闘開始。ルドウィッグは甲羅にもぐっての体当たりと回転しながらの体当たり、そしてプチブレスで攻撃してきます。『NSMBW』では、砦ではラリーやロイのと似た部屋が戦いの舞台ですが、ルドウィッグが放つ魔法弾はプレイヤーキャラを追尾してくるというのが特徴です。ルドウィッグを2回踏むと、追尾弾を2連射するようになります。城では、上昇する3つの足場を移動しながらの戦いになります。魔法弾での攻撃も砦の時とは異なり、一度に4発の魔法弾を扇状に発射します。2回踏むとそれを2連射するようになります。杖を横に軽く振るだけで魔法弾を放てるため、ルドウィッグの攻撃動作はコクッパ7兄弟中もっとも速いです(弾自体の速度はそれほど速くない)。また、『NSMBW』でのルドウィッグにはもうひとつの特技・ふんばりジャンプがあります。砦での戦闘開始前にマリオたちを見て一瞬驚いた様子を見せるものの後ろを向いて含み笑いを漏らすのは、おそらくこの新しい特技のことをマリオたちは知るまいと思ってのことでしょう。ところで、『NSMBW』でのルドウィッグのどこか気取った様子の低い声はなかなか印象的で、「イケメンボイス」「セクシーボイス」と評判でした。なお、アメリカの人の中には「ルドウィッグの台詞のアクセントはイギリスっぽい」というような印象を持っている人達もいるようです。
 また、これは日本では発売されていないのですが、『Mario is Missing!』のSNES版では城の1階、PC版では5階の、『Hotel Mario』では5軒目のホテル「Ludwig's Thump Castle Hotel(ルドウィッグのサンプ=キャッスル=ホテル)」のボスだそうです。『ホテル』ではテレポートで移動しつつ手から稲妻を発して攻撃してきたそうです。お化けが徘徊し扉が消えたりまた現われたりする古城をモチーフにした彼のホテル「Thump Castle Hotel(サンプ=キャッスル=ホテル)」とは「Trump international Hotel(トランプ=インターナショナル=ホテル)」をもじったのものと思われます。「Thump」は日本語で言うなら「ドシン・ゴツン・ドスン・ドキン・ガンガン・ドン・ガタガタ・ポンポン」といった擬声語に相当する言葉で、「ドシンと音を立てて打つ、ドシンドシンと歩く」のような意味でも使われます。「Castle」は「お城」ですね。ルドウィッグが登場する面は「Ludwig's Frantic Lab(ルドウィッグの狂乱の実験室)」と呼ばれます。って、何でホテルに実験室があるんですか。もしや宿泊客を実験台に……? このステージの名称は、後述するアニメ版の設定に基づいているようですね。

 コクッパの長男だとよく言われます。昔とあるサイトで、クッパJr.はルドウィッグの幼い頃の姿だという説を見たことがあるんですが、それも彼が一番年長だということが前提なんでしょう。この意見は正直トンデモだとは思いますけど。っていうか、今となってはありえない話ですね。

 例によって例のごとく名前考察ですが、その前に。よく誤記されますが、彼の名前は「ルドウィッグ」です。「ルドヴィック」とか「ルドウィック」とか「ルドヴィッグ」とかではありませんのでご注意。それにしてもこのルドウィッグという名前は他のコクッパ達のそれとは少々違った響きを持っているような気がします。個人的にはこの名前にはかなりこだわりがあるんですけどね。ええもう、もし彼がルドウィッグじゃなかったら私がルドウィッグになっていたことでしょう。それほどまでに。
 Ludwigをエキサイト翻訳で訳すと「ルドウィッグ」ではなく「ルートヴィヒ」になることに疑問を感じた方もいるかも知れません(アップデートされたのか、2005年1月現在では「ラドウィグ」と訳されるようになりましたが。「ルドウィッグ」よりこっちの方が英語での発音には近いです)。実はこの名前、英語じゃなくてドイツ語なんです。ドイツ語の発音だとルートヴィヒで、英語風に言えばルドウィッグ。スペルもLudovicとかLodovickの方が英語っぽいようです。『世界人名ものがたり』(梅田修/講談社/1999)によれば「もっともドイツ的名前」とさえ言われるこの名前について、詳しく見ていきましょう。
 Ludwigという名前の語源はゲルマン祖語 hluda- (音が高い、よく耳にする) と wiga (戦い) とからなる古高地ドイツ語 Hluodowig で、意味は「戦において名高い者」「高名な戦士」といったものです。Hluodo- とは雷神トールの「轟く雷鳴」とか、オーディンの敵を威圧して恐怖に陥れるときの音と関係付けられた言葉でもあると考えられるそうです。
 ……お気付きの方もおられるかと思いますが、この説明はコピペです。「『ルイージ』をめぐって」の「ルイージという名前」からの。そう、ルドウィッグとルイージは同じ名前なんです。
 あまり知られてませんが、本山先生のマンガにも、ルドウィッグがルイージのドイツ読みだということを知ってショックを受けるという話がありました(出典:『スーパーマリオ4コマ大行進』本山一城・佐藤元と夢屋・うり坊・大丸ロケット/講談社/1995)。
普通はあまりこんなことしないと思いますが、よい機会なので2人の名前を並べてみましょう。
 Ludwig
 Luigi

ご覧の通り、とてもよく似ていますね。

 それにしても、なんでこんなことになってしまったんでしょうか? Koopaprinceさんの説によれば、ルドウィッグの名前の由来はLudwig von Beethoven……かの有名な作曲家・ベートーヴェンだそうです。というか、どうやらこれは断言してもかまわないようです。英語版『SMW』4番目のお城クリア後のメッセージ(※1)やアメリカ任天堂の『SMA2』紹介ページ(※2)にて、ルドウィッグは作曲を行なうということが明言されているのです。ロイ他の項で引用した父の日マンガでもおもちゃのピアノを弾いていたし。
 (※1…「Ludwig Von Koopa's days of composing Koopa symphonies in castle #4 are over.」「4番目のお城でのルドウィッグ=フォン=クッパのクッパ交響曲を作曲する日々は終わった」)
 (※2…「There is plenty of great music to listen to on Dinosaur Island, but none of it is courtesy of this creepy Koopa. If you find yourself to be an unwilling audience member, hop on Ludwig's head three times.」「恐竜ランドでは多くの素晴らしい曲が聴かれますが、そのいずれもこの気味が悪いカメの好意ではありません。もしあなたが不本意にして聴衆となっていることに気付いたなら、ルドウィッグの頭に3回飛び乗ってください」)
 「an unwilling audience member」って、せんべい山の城のルドウィッグの間に着いたら、リサイタルに強制参加させられてしまうんでしょうか。いったいどんなものを聞かされるのやら。あちこちのサイトでの記述を見るに、相当ヤバいもののようなんですが、果たして……? 耳が悪いのでそんなことになってしまうという説あり(出所はどうやらアメリカで出版されていたマンガのようです)。というか、元ネタのベートーヴェンも耳が悪かった訳ですが、しかしそっちは(以下略)。
 ……で、なんでしたっけ。ああ、ルイージと名前がかぶった件ですね。まぁつまりその、ルイージとかぶってしまったのは単なる事故というか何というか。ポピュラーな名前ですからね。ベートーヴェンも『英雄交響曲』の表紙にはイタリア系のナポレオンに捧げるためか「ルイージ=ヴァン=ベートーヴェン」と署名してたそうですし。ちなみにハンガリー語ではラヨシュLajosですが当サイトの管理人のHNがこれなのはわざとです。余談ですがそういえば、以前海外某サイトにてルドウィッグはルイージのドイツ語形だという話をしていたら、アメリカの人から「ルドウィッグって日本かイギリスの名前だと思ってました、ルドウィッグの口調ってイギリスっぽいし、任天堂は日本の会社だから」みたいなレスが付いてこっちがビックリしたということがありました。
 しかしどうして他のコクッパの名前の元ネタは現代のアメリカ人らしいのに、ルドウィッグだけ昔のドイツ人なのか……恐らく、「髪形が似てる」ということじゃないかと。イラストではそうでもないですが、ゲーム画面で見れば何となくそんな気がします。って、私自身はルドウィッグの頭についてヘヴィメタとかそういうイメージを持ってたんで、クラシックの作曲家というのは正直ビックリしましたよ。
 あ、さっき「Ludwig von Beethoven」と書きましたが、ベートーヴェンの名前は正しくは「Ludwig van Beethoven」です。ルートヴィヒ・フォン・ベートーヴェンじゃなくてルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(「von」は英語的にはヴォンという感じで読まれますが、カナ表記はドイツ語に合わせてフォンにしています。でも「Beethoven」はベートホーフェンじゃなくてベートーヴェン。「van」はオランダ語だからヴァン。要するに慣用優先ということです。ご了承下さい。もっとも、米アニメでは「von」は「フォン」のように聞こえました)。「von」はドイツ語の前置詞で、人名に付く場合は貴族の身分を表わしますが、元々は出身地の表示でした。「van」もやはり出身地を表わしますが、特にオランダ系の姓に用いられます(こちらは貴族の身分とは関係ないようです)。じゃあやっぱりベートーヴェンじゃないんじゃないの? と疑問に思われるかも知れませんが、そこまで穿ってみる必要もないと思います。たぶん名前を考えたスタッフが素で間違ってただけなんでしょう。「"Ludwig von Beethoven" -van」で検索しても約 1,300,000 件もヒットするので、命名者であるスタッフばかりを責めるのは酷というもの。実際、ベートーヴェンが生きていた当時からちょくちょく間違われていたし本人もいちいち訂正してはいなかったようだし。それはともかく、この間違いが更なるネタを生むのですよこれがまた。

 アニメでは、ルドウィッグに当たるキャラはクーキーKookyという名でした。フルネームはクーキー・フォン・クッパKooky Von Koopa。kookyとは「気の狂った・いかれた・変人の」といった意味の言葉です。アニメ版の彼はその名の通りのマッドサイエンティストで、さまざまな発明品を作り出します。まぁ、「正義は勝つ」ということで、最後にはマリオ達に野望を阻止されるというのがお決まりのパターンではありましたが。
 また、アニメ版の彼は笑い声がおかしいということがファンサイトにおける説明でしばしば言及されます。確かになんか変です、うまく説明できませんが引き攣ったようなキーキー声……。
 なお、ルドウィッグは「ゲーム版とアニメ版は別物! ルドウィッグとクーキーは別亀!」という扱いを受けることが多いです。かたや作曲家、かたや発明家なのでむべなるかなといったところではありますが、しかし昔は結構ルドウィッグ(ゲーム版)にクーキー(アニメ版)の設定を付加した作品もちょくちょく見かけたものです(そして私も影響を受けていた)。最近はそういうのはあまり見ませんが、どうしてそういう変化が起こったんでしょうね。とまれ、ゲーム版にアニメ版の設定が付加されることがいまだに多い気がするラリー・モートンや、ゲーム版とアニメ版の印象がさほどかけ離れていないらしいウェンディ・ロイとは何かが違うっぽい。
 ところで、クーキーといえば、発明家という設定はどこから出てきたんでしょう?
 このページを作成するに当たり、「Ludwig Von」で検索してみたところ、あるアニメキャラが見つかりました。Ludwig Von Drake、ドナルドダックのおじです。彼は「nutty professor」とか「wacky professor」などと紹介されていますが、nuttyもwackyも「風変わりな、変わった、いかれた、狂った」という意味を持つ言葉で、kookyに通じるものがある気がします。実際、英英辞書を引いてみたらkookyもwackyもnuttyもcrazyという語義があったし。で、このおじさんは科学者であり発明家であるらしいです。
 クーキーに発明家という設定が付いたのは、ゲーム版のルドウィッグ・フォン・クッパという名前を見たアニメスタッフがドナルドダックのおじを連想したせいじゃないかと思います。けれども、何らかの理由でゲームの名前をそのまま使うことができなかったので、フォンだけ残して元ネタを仄めかしたんじゃなかろうかと。ニンジャタートルズのパロディのようなネタなんかもやってる人達なんで(Sneaky Lying Cheating Giant Ninja Koopas)、それぐらいのことはやってもおかしくない気がします。ネタ満載ですねルドウィッグ。
 『The Adventures of Super Mario Bros. 3 』のDVDボックスのボーナスディスク収録の『The Adventures of Super Mario Bros. 3 Writers Bible』によれば、クーキーは「When Koopa's villainous schemes require sheer lunacy, he calls on Kooky. A graduate of Frankenstein University, Kooky loves to construct monsters in his basement lab in Kastle Koopa. He's responsible for many of the new villainous characters in SM3 [sic]. He built the Doomship. Kooky never showers or combs his hair. He sleeps during the day, if he ever sleeps at all. Eats nothing but candy and fried foods. 」「クッパの極悪な陰謀がまったくの愚行を必要とするとき、彼はクーキーを訪ねます。フランケンシュタイン大学の卒業生であるクーキーはクッパ城地下の彼の研究室で化け物を作成するのが大好きです。多くのSM3(原文ママ)の新しい極悪なキャラクターは彼によってもたらされました。彼は飛行船ドゥームシップを建造しました。クーキーは決して髪を洗ったり櫛で梳かしたりしません。もし彼が少しでも眠ることがあるなら、彼は昼間に眠ります。甘い物と揚げ物以外は食べません」ということです。クーキーはティーンエイジャーのはずなので、大学には飛び級で進学したんでしょうか。それにしても、フランケンシュタイン大学って。またあらぬ方向に連想が暴走しちゃったよ皆までは言いませんが。そして生活習慣にはかなり問題があるなぁ……。

 『SMB3』の取説、登場キャラクタ紹介ページでの台詞は「イエーイ! のってるかい。攻撃的で過激な仲間が増えてオイラもうれしいぜ。ベイビー。実を言うと他にもっと仲間がいるんだけど、そいつはマリオにはナイショだぜ」です。そう、このサイトで以前使っていたカウンタの元ネタです(憶えてる人何人いるかなぁ)。ただのルイージファンサイトだった頃からこうだったって辺りが何というか。しかし、日本の取説からは音楽は音楽でもロックとか好きそうな感じを受けるのに、海外じゃクラシックの作曲家。この辺のすり合わせって行なわれなかったんでしょうかねぇ。アメリカ版では「Quite an exciting game isn't it? I'm glad to know that we have such powerful enemies helping us out. We have more guys helping us besides these... but don't tell Mario.」。「まったくエキサイティングなゲームだろ? オイラ達を助けてくれる強力な仲間がいてうれしいぜ。他にもっと仲間がいるんだけど、マリオにはナイショだぜ」。「イエーイ」とか「ベイビー」とかがなくなって、ちょっとおとなしい感じがします。英語的に変だったんでしょうか?
 『NINTENDO POWER』に掲載された『SMB3』攻略記事の台詞は「Vee shall see if you can defeat me, Mario. I combine all the attacks ov my younger brothers and sister-I am the ultimate Koopaling! I see you trembling, Mario...Vy don't you just go home?」です。「オレを打ち負かせるカ確かめてやるヨ、マリオ。オレは弟妹の攻撃をすべて兼ね備えタ、究極のコクッパなんダ! 震えてるナ、マリオ…おウチに帰ったらどうダ?」。実際には、ウェンディとレミーのような攻撃はしませんが、その辺にはツッコまないでおいてあげましょう。ところで、綴りがなんかおかしいですが、これはドイツ訛りを表現したものです。名前がドイツ語だからそういう設定なんでしょうが、だからといって兄弟の中で1人だけ訛っているのは……もっとも、日本版のロイも1人だけ関西弁ですが。しかもこれは名前とか関係ないし。ともかく、一部のファンは二次創作の際、ルドウィッグの台詞にこの訛りを取り入れている模様です。また、この記事には「Ludwig Von Koopa is Bowser's Second-In-Command! (ルドウィッグ・フォン・クッパは大魔王クッパの副官だ!)」という文もありました。一部のルドウィッグファンはそれを見て鼻息を荒げたりしますが、そっとしておいてやって下さい。
 『NSMBW』日本版公式サイトでのキャラクター紹介ページでのルドウイッグ(←間違えるなよ「ルドウィッグ」だろうが公式ぃ!)の説明は「大人びてナマイキな、仲間のうちで一番の頭脳派? 一筋縄ではいかないかも」とありますが、『NSMBW』以前に(以降もあまり払拭されてはいないようですが)日本で流布していた彼のイメージよりはむしろ欧米におけるそれに近い気がします。また、「大人びて」と書かれている辺り、彼が長男であることを示唆しているようにも思えます。っていうか、『SMB3』取説のイエーイのってるかいベイビーなキャラの面影はないですよね。やっぱりアレですか、ハイテンションキャラだとイギーとかぶるっていうかむしろインパクト負けするから路線変更したんですか。って、これはこれである意味負けなんじゃないかという気もしますが……まぁいいや。個人的には海外版の方に馴染みがあるし。先にも書きましたが、海外版はそもそも『SMB3』の時から「イエーイ」とも「ベイビー」とも言ってないんですよね。それにしてもイギーのキャラは初登場時からぶれてないんだなぁと改めて思いました。
 MS-DOSの『ミッシング』でのルドウィッグの台詞は、以下に示すようなものです。「How many Bowsers to unscrew a lightbulb? Ha ha, only one, and he's dying to plunge Mario into darkness!」「1つの電球を外すのには何人の大魔王が必要か? ハハハ、たった1人だ、そしてその大魔王はマリオを暗黒に陥れたくてうずうずしているのだ!」「You think YOU'RE in the dark, friend? Just imagine poor Mario without any lightbulbs!」「おい貴様、貴様は闇の中にいるのは貴様だと思っているのだろう? 電球を少しも持っていない哀れなマリオのことを想像してみるがいい!」「You made it past the others, but you won't get past me, you wrench wielding weirdo! I'm the mighty Ludwig von Koopa!」「貴様は他の奴らは乗り越えてきたが、私を越えてゆくことはできまい、このレンチを振り回した変人めが! 私はかの強大なるルドウィッグ=フォン=クッパ様だぞ!」「At last, the Koopa defenses are wearing you down! No plumber can stop us! Soon, the South Pole will be one giant Koopa swimming pool!」「ついに、カメ族の防衛は貴様を疲弊させている! 我々を阻むことのできる配管工などいない! まもなく、南極は巨大なクッパスイミングプールとなるだろう!」「You can't hurt me. Only FIRE can destroy me!」「貴様に私を害することはできん。ただファイアのみが私を打ち破れるのだ!」電球を外す云々というのは、いわゆる「電球ジョーク」を下敷きにした表現ですね。アメリカの古典的ジョークのひとつで、「1個の電球を取り替える作業のために何人の彼らが必要か?」を述べることで特定の集団またはそこに属する人々をステレオタイプ的に表現するというのが本来の形です。「Q. 1個の電球を取り替えるのに何人のポーランド人が必要か? A. 3人。1人が電球をつかんで差し込み、他の2人が最初の男の乗っている台を持って回転させるため」というのが基本形。ちなみに、古典的アメリカンジョークではポーランド人は間抜けの代名詞的存在らしいです。ともかく、ここでは「クッパは間抜けなんかじゃない」ということを言わんとするために「電球ジョーク」を応用した表現をとっているのだと思われます。「レンチを振り回した変人」というのは、指揮棒を振りながら喋っているルドウィッグ自身と配管工のルイージとを対比させた表現でしょうか。

 ルドウィッグはもっとも強く賢く才能豊かで残酷なコクッパであるとされます。生意気で傲慢ながら素晴らしい知能と高い教養の持ち主で、特にクラシック音楽をこよなく愛し自ら作曲も手がける……というのが、欧米でポピュラーなルドウィッグの設定です。また、時として「狂気じみている」とか「サディスティック」とか言われることもあります。他には、チャーリー野沢作画・竹熊健太郎シナリオの『SUPER MARIO ADVENTURES (邦題:マリオの大冒険)』での描写からビデオゲームが好きだとか、『Hotel Mario』ではお化け屋敷のような古城ホテルが彼のステージだったことからホラーに熱中しているとか、そういった特徴が付けられることもあります。

 英語のサイトでは時折Baronという称号つきで呼ばれていることがあります。バロンなんて言われると、つい「男爵様は無敵ですー!」などと叫びたくなったりアイテム7キラメキ棒や錬金ガラン胴を装備させたくなったりしますがもちろんそういうことではなく。これは『SMB3』の攻略本が出所らしいです。原文に当たっていないので推測ですが、意味としては恐らく「大実力者」みたいなものでしょう。「石油王」とか「麻薬王」とかいう場合の「王」みたいな。実際の爵位ではないと思います。いやだって男爵って爵位としては一番低いし(王子様なのに)。もっとも、例えばDukeだったらエレガントなスーツとか恐怖スーツとか着せたくなってしまうのでやっぱり駄目です。それに、他のコクッパにはその種のタイトルついてないし。

 先にも述べましたが、ルドウィッグはあの髪型に注目されることが多いです。そもそもルドウィッグと名付けられたのも髪型のせいらしいですし。兄弟の中で髪型に言及されることが最も多いようですが、モヒカンとか3本しかないとかより気になるとは……やっぱりマッシヴなインパクトが? 日本語の資料も冒頭の引用の他にも色々ありますが、アメリカでも例えばPrimaの『SMA4』攻略本で、「With mad hair and roving eyes, this lunatic turtle (イカれた髪ときょろきょろした目の、この狂ったカメは)」なんて紹介のされ方をしてましたっけ。って、mad…lunatic…ここでも狂ってますかルドウィッグ。例のアニメ以降だからそういうイメージが定着してるのか、それともあの髪はどう見ても変なのか……? あのフサ毛がいいんだがなぁ。私も変なのか。それについては疑いを差し挟む余地はなさそうですねそうですね。

 ああそういえば欧米の話ばかりでした。日本の作品ではルドウィッグは天才どころかむしろちょっと頭弱そうな感じさえ受けることがあります。
個人的に「ええ…っ」と思ったのは、本山先生の『SMW』でした。「オレは四番めの城の王ルドウィッグさまだよ〜ん」……「だよ〜ん」って……(脱力)。『SMB3』の時は普通に喋ってたのに。しかもなんかあっさりやられるしなぁ。「ボーリングアターックだよ〜ん」と叫びつつ甲羅に入って体当たり。ボーリングのピンがセットしてありましたが、1人でいる時暇つぶしに遊んでたんでしょうか。で、炎を吐く間もなくルイージに踏まれて終わり。「うひゃ〜っだよ〜ん」。ツインブリッジ&せんべい山が狭いエリアだからってさっさと片付けすぎです。せめて炎ぐらい吐かせてやってくれ(泣)。ところで、マリオじゃなくてルイージなのって……いや、やっぱり深読みしすぎですね。
 ……それはともかく、日本でのルドウィッグの性格設定としては、「落ち着きがない」というのがしばしば見られます。恐らく初出は『SMW』公式ガイドのキャラ紹介ページです。攻撃法を評して「なんて落ち着きのない奴だ」と書かれたのが定着したんじゃないかと。しかし、モートンの項でも書きましたが、マンガ等においてコクッパ、特に男コクッパはあまり個々の描写ってされてないんですよね。ファンそれぞれの想像の余地があるとも言えますが、それにしても取っ掛かりが少なすぎて、まずファンになることが難しいように思います。実際、アニメが放映されていた欧米では放送のなかった日本よりコクッパファンの活動が活発だし。

 海外のコクッパファンの間で回っていた『「あなたはどのコクッパ?」バトン』での、ルドウィッグに関する質問は以下のとおりです。
  ・とても賢い
  ・クラシック音楽が好きだ
  ・家族の中で一番上の子供だ
  ・土管の国を占領したい
  ・火を吐いてみたい
  ・いくぶん尊大だ
 ……あなたはいくつ当てはまりましたか?

<レミー コクッパとは? ラリー>

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